日本を含むアジア諸国では、どのような食習慣がNAFLD患者の病態と関連するのか?
大阪公立大学は3月9日、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)136人の食事、筋肉量、肝線維化進展度の関連性を解析した結果、12の食品・食品群の摂取量から計算される日本食スコアが高いグループは、肝線維化進展度が抑制的であることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院 生活科学研究科の松本佳也准教授、医学研究科の藤井英樹講師らの研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrients」にオンライン掲載されている。
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NAFLDに対する治療は、食事療法や運動療法など、生活習慣の是正に伴う減量が有効であることが報告されてきた。海外では植物性食品や魚介類を中心とし、オリーブ油などを使用した地中海食パターンに準じた食事がNAFLD患者の脂肪肝改善に有効であると報告されてきた。しかし、日本を含むアジア諸国では、どのような食習慣がNAFLD患者の病態と関連するか十分に検証されていなかった。
筋肉は糖の代謝などに重要な組織であり、NAFLDの病態進展と関連することが報告されてきた。筋肉量には食習慣が関連すると考えられるが、NAFLD患者の筋肉量と食習慣の関連性は、十分に検証されていなかった。
日本食スコアが高いグループは「肝線維化進展度」が抑制的、大豆・魚介類・海藻などが関与
研究グループは、大阪公立大学医学部附属病院 肝胆膵内科に通院中のNAFLD患者136人(男性69人、女性67人、年齢中央値60歳)に対して、食事、筋肉量、肝線維化進展度の調査を行い、「食事と肝線維化進展度」「食事と筋肉量」「筋肉量と肝線維化進展度」の関連性を解析した。食事では、12の食品・食品群の摂取量から計算される日本食スコア「mJDI12(12-component modified Japanese Diet Index)」に着目して解析を行った。
その結果、日本食スコアが高いことは肝線維化進展度に抑制的に関与しているとともに、日本食スコアの構成食品・食品群である大豆製品、魚介類、海藻類それぞれの摂取量が多いことも、肝線維化進展度に抑制的に関与していた。
大豆摂取量が多いと筋肉量も「多」、筋肉量の多さが肝線維化進展度抑制に関連
さらに、日本食パターンの中でも大豆製品、魚介類、海藻類の摂取量が多いグループは、肝線維化進展度が抑制的であることが判明。また、大豆製品の摂取量が多いグループは筋肉量が多く、筋肉量が多いグループは肝線維化進展度が抑制的であることも明らかになった。
NAFLDに対する有効な食事療法確立につながることに期待
これまで日本におけるNAFLDに対する食事療法で有効な候補はなかったが、今回の研究によりNAFLD患者の食事療法の一つとして「日本食パターン」が有効である可能性が見出された。今後さらなる介入調査を進めることで、有効な食事療法の確立につながることが期待される、と研究グループは述べている。
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