慢性腰痛患者80人を高周波数TENS・変調周波数TENS・プラセボに分類、RCTで検証
畿央大学は2月21日、腰部運動時痛に対して経皮的電気刺激(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation:TENS)の効果を検証し、周波数を変調したTENSによって慢性腰痛の運動時痛が軽減することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大健康科学部理学療法学科の瀧口述弘助教、庄本康治教授、同大健康科学研究科の高松昇三博士課程2年(オムロンヘルスケア株式会社)らの研究グループによるもの。研究成果は、「Japanese Journal of Electrophysical Agents」に掲載されている。
画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)
腰痛をもつ日本人は38%程度と推定されており、社会経済に与える影響は少なくない。腰痛治療の一つにTENSがあるが、慢性腰痛の運動時痛に対する効果を検証した報告は限られていた。なお、TENSは副作用がほとんどなく、近年では操作が簡単な家庭用の機械も販売されている。
今回の研究では、慢性腰痛患者80人を高周波数TENS群、変調周波数TENS群、プラセボTENS群に分類して、腰部運動時痛に対する効果をランダム化比較試験で検証した。腰部運動時痛は、腰部の運動テストでよく用いられる指床間距離を測定し、その時の痛みを運動時痛として測定した。痛みの程度はVisual Analogue Scale(0–100で痛みの程度を示す。0:全く痛くない、100:想像できる最悪の痛み)を用いて測定した。
変調周波数TENS、プラセボ群に比べ運動時痛軽減
研究の結果、腰部に周波数を変調したTENSを実施すると、プラセボTENSと比較して、腰部運動時痛が低下した。この結果から、周波数を変調したTENSを実施することで、慢性腰痛の運動時痛が軽減されることが明らかになった。
TENS併用で日常生活動作での腰痛が軽減するか?要検討
同研究結果から、動作中の痛みを軽減できる可能性が示唆された。今後は、日常生活場面でTENSを併用し、日常生活動作での腰痛が軽減するかを明らかにする必要がある、と研究グループは述べている。
▼関連リンク
・畿央大学 プレスリリース