手引きは、限られた医療資源の中で持続可能な医療体制に薬剤師が貢献するため、各都道府県の病院薬剤師会が主体となり、薬剤師会や自治体と密に連携して、地域の実情に応じて持続可能な病院薬剤師の確保策を策定するための参考にしてもらうために作成された。
薬剤師の偏在は地域偏在、機能偏在、規模偏在など複合的な要因が関係し、その実情が都道府県によって大きく異なるため、地域の実情に応じた取り組みが必要になることから、資金面や出向形式の観点から薬剤師確保のモデルを例示した。
資金による分類では、出向元医療機関の薬剤師が出向先医療機関に出向し、人件費・旅費等の実費を出向元医療機関に支払うモデルが基本になる。薬剤師派遣に関連する資金調達手段として、▽地域医療介護総合確保基金▽基金を含む複数の資金▽公立病院については特別交付税措置による人件費の補助――の活用パターンが考えられるとした。
一方、出向形式による分類では、▽出向元医療機関で雇用した薬剤師を出向先医療機関に出向させる(出向型)▽出向先医療機関で雇用した薬剤師が出向元医療機関で研修期間中に出向元医療機関から代替要員の派遣を受ける(研修型)▽出向元で雇用し研修した薬剤師が最終的に出向先で雇用させる(共育型)――の三つに区分した。資金と出向形式の観点から最適な薬剤師確保の対策モデルを策定してもらう。
また、24年度に各都道府県が策定する第8次医療計画に合わせスケジュール例も示した。4月までに都道府県の担当者に確保すべき薬剤師数などのイメージを持ってもらい、7月の都道府県での部内調整までに根拠となる資料をまとめ、翌2~3月の都道府県議会での承認を得る。事業開始後5年目となる29年度末に事業の検証と目標の再設定を行うとした。
基金を用いた薬剤師修学資金貸与事業の推進に向けては、日病薬でマニュアル作成が計画されている。崔吉道理事(金沢大学病院)は、18日に都内で開催された臨時総会で、「基金を用いた修学資金と、今回の手引きで示す『基幹病院から地域病院への薬剤師派遣/出向スキーム』は薬剤師偏在を解決するための車の両輪をなすものとして、地域の実情に応じて組み合わせて活用いただきたい」と述べた。