全国の病院薬剤師を対象に詳細な業務実態を把握するためのタイムスタディ調査「病院薬剤師の勤務実態調査」の速報値が19日、日本病院薬剤師会が開いたセミナーで公表された。病棟業務の勤務実態を見ると、病棟薬剤業務実施加算を算定している病院は、算定なしの病院に比べ1週当たりの業務時間が6時間程度多いことが分かった。一方、調剤業務は算定なしの病院が算定ありの病院に比べ6時間程度多かった。
調査は、薬剤師の業務実態を可視化し、薬剤師の偏在解消に向けた基礎データの整理を狙いとしたもの。2022年10月24~30日の7日間、薬剤師本人が調査期間に実施した業務と所要時間について15分単位で記録し報告した。病院勤務の薬剤師5万5948人のうち2万1611人と全体の約39%が回答した。
病床100床当たりの薬剤師数は、病棟薬剤業務実施加算の算定あり施設で平均5.78人、算定なし施設で平均3.21人で、病棟業務に専任の薬剤師が必要となるため、算定なしの施設に比べて2~3人多い状況が明らかになった。薬剤師1人当たりの病床数も算定あり施設では平均20床、算定なしでは46床と2倍以上となった。
病棟業務と調剤業務について、病棟薬剤業務実施加算の算定有無で勤務実態に差異が見られた。算定ありの病院は算定なしの病院に比べ、病棟業務が1週当たり6時間程度多かった。
病棟業務の従事割合を病院薬剤師の勤続年数ごとに見たところ、「2~3年」「4~5年」「6~10年」では、加算あり施設と加算なし施設で大きな差が見られ、加算を取得している病院ほど若手薬剤師が病棟業務を経験できていた。
非薬剤師の活用については、算定あり施設の半数以上が「集計表等に基づく医薬品の取り揃え」「集計表等に基づく注射剤の準備」で取り組んでいた。
薬剤師へのタスクシフト/シェアについては加算の有無で大きな差があり、「薬剤選択や投与量などで医師に積極的に提案している」病院が全体で半数あり、100床当たりの薬剤師数3人以上では8割を超えた。
各都道府県における100床当たりの薬剤師数は東京都や大阪府など都市部で多く、青森県や長崎県、山形県、島根県、秋田県は少なかった。