薬価流通政策研究会(くすり未来塾)は17日、提言「コスト増時代に適した新しい薬価制度のあり方」をまとめ、公表した。原材料等のコスト増を薬価に連動させ、安定供給を確保する仕組みを求めた。合わせて、共同開発制度にも問題意識を示し、見直しの必要性を指摘した。
提言は第6弾となる。その中で、一部製造では「コスト上昇と薬価低下が同時に発生し、これが不採算医薬品が発生する一つの原因」と、現行制度の問題点を指摘した。
一例として挙げたグロブリン製剤では、この約20年で薬価が4割下落する一方、過去5年で原料血漿標準価格が1.9%上昇し、今後も上昇する可能性があるという。現行のままでは、新薬の薬価も既存製品の薬価を参照するため「薬価は低位のまま改善しない」ことに加え、海外製品の場合は「世界各地域への製品配分量を決める際、相対的な低価格が要因となり、日本への配分優先度が低下し、十分な量が供給されない恐れがある」として、コスト要因で価格を変化させる仕組みを提案した。
そのほか、過度の薬価引き下げを見直す必要がある医薬品として抗菌剤と輸液製剤を取り上げた。抗菌薬は、安定確保医薬品に指定されながら薬価が継続的に下落し、パイプライン数、国内市場が縮小し、日本の上市時期が5年以上遅れているドラッグラグ製品が国内承認品目の6割強を占める状況に懸念を示した。
輸液製剤でも、使いやすさなどの改善が図られても、既存品と同等以下の薬価が適用され、開発の投資回収が見込める制度になっていないと課題を挙げた。
共同開発制度も、後発品の供給促進には役立ったとしつつも、結果として利益性の高い製品に集中し、収益性のある期間のみの販売を行うという「安定供給上好ましくない状態」が生じたとの見方を示した。
提言では、後発品の共同開発は「原則制限すべき」とした。ただ、今後は採算の取れにくい製品も出てくることから、一定程度認めるとし、その際にも「自社で検査体制を持つなど品質に責任を持つ体制のある企業に限る」との考えを示した。