ゾコーバは一般流通開始後、感染拡大した場合に高額医薬品となる可能性があることから、1月から中医協薬価専門部会で薬価のあり方について議論を行ってきた。
薬価収載時には類似薬効比較方式を算定方法として採用することとした。比較薬の選定に当たっては、対象疾患の類似性と投与対象患者の類似性のいずれを優先するかによって算定薬価が大きく変動する特殊性を考慮し、複数の比較薬を選定して薬価を算定することとした。
収載時の市場規模予測の設定については、今後の感染予測や現時点における同剤の投与割合を踏まえつつ、収載後の流通方法の変化も考慮しながら設定するとした。
具体的な薬価算定に当たっては、薬価算定組織で審議した上で、中医協の了承を経て行う。
一方、薬価収載後の再算定では、コロナ患者の発生状況、同剤の投与割合、出荷量等の情報に基づいた年間販売額を推計し、市場拡大再算定、四半期再算定の適否を判断する。
年間販売額の推計は、四半期ごとに直近1年間の推計データに基づき判断するが、収載後1年間は収載からその時点までの期間における推計データをもとに年間販売額を算出して、判断する。推計データに基づく再算定は、年間市場規模が「1000億円超1500億円以下」「1500億円超」となった場合に薬価を引き下げる特例拡大再算定に限り適用する。
推計データに基づいて再算定を行う場合の引き下げ率の上限の取り扱いについては、現行では1000億円超1500億円以下で最大25%、1500億円超で最大50%となっているが、薬価収載時に中医協で検討することとした。
再算定を行う場合の手続きも収載時と同様、薬価算定組織で審議し、中医協で了承した上で行う。中医協での審議から再算定後薬価の適用までの期間は、推計データ把握から適用まで4カ月程度をメドに対応する。
また、同剤は1年間の期限を設けた緊急承認の品目で、期限内に改めて承認申請が実施されるため、本承認後は速やかに中医協に報告し、承認に関する審査結果等を踏まえて改めて薬価を検討することとした。
対応案に対して、委員からは「これまでの議論を反映したもので、基本的に異論はない」など、賛同する声がほとんどだったが、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「今後は薬価算定組織が検討した算定案が示されるが、具体的な考え方も示してほしい」とし、支払側の眞田亨委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会長代理)も算定案について「中医協に諮る際には、価格設定の考え方、市場規模の根拠等を可能な限り説明すべき」など注文を付けた。