セルフメディケーションの推進策、OTC薬使用促進策は、厚生労働省に担当組織が設けられたが、22年の改革工程表に明記されず、推進目標も設定されていない。OTC薬協は、厚労省にOTC数量目標、スイッチ推進の環境整備などを要望してきた。
そこでOTC薬協は、単に要望するだけでなく、メンバーと意見交換し、理解を得ながら使用推進策を政府・関係団体に働きかけていく必要があると判断し、ボードを設置した。
ボードは、メンバーの多様な視点から使用推進策を議論し、施策につなげる実践を重視する方針。24年3月までの約2年を第1期とし、行政の動きに合わせて提言できるよう原則年4回程度、定期開催する。当面はOTC薬協の磯部総一郎理事長が会合を進行する。
初会合では、▽OTC医薬品・検査薬の普及と拡大▽ヘルスリテラシー向上のための環境整備▽セルフメディケーション税制の普及啓発支援――などを重点に活動することを確認した。
会合では、まずOTC薬協からスイッチOTC(新規と既存製品)とそれ以外(新規と既存製品)の四つの領域から課題を示した。
関連制度・規制、リスク区分の見直しによるスイッチ拡大や使用促進、健保組合の使用促進策、消費者がOTCを選択しやすい環境づくりなどを挙げた。
スイッチOTCについては、開発予見性のある制度運用の必要性や、市販後調査の柔軟化も指摘した。
一部健保組合のOTCへの置き換え提案通知などの使用促進策も取り上げ、薬局・薬剤師など医療者と協業して取り組むことも一案として説明した。そのほか、デジタル機器によるセルフチェックとOTC活用、検体測定室データの診療への活用なども課題として紹介した。
磯部理事長は14日、会合は「国民皆保険を持続可能なものにするため、医療者とわれわれが一緒に取り組めるものがあるのではないか」との雰囲気だったと説明。今後について「メーカー視点だけでなく、率直な意見をいただき、OTCをもっと上手に使える環境を作っていきたい」と抱負を語った。
メンバーは次の各氏。岩月進(日本薬剤師会常務理事)、宇佐美伸治(日本歯科医師会常務理事)、幸野庄司(健康保険組合連合会参与)、河野紀子(日経BP副編集長)、中山和弘(聖路加国際大学教授)、平野健二(日本チェーンドラッグストア協会理事)、宮川政昭(日本医師会常任理事)、山口育子(ささえあい医療人権センターCOML理事長)。厚労省の医政局、医薬・生活衛生局、保険局の補佐クラスがオブザーバーとして出席した。