日本薬剤師会の山本信夫会長は11日、都内で講演し、改正医薬品医療機器等法における薬局の新たな定義でOTCを含めた医薬品を取り扱う場所と定められたことに言及。「調剤薬局という言葉は使えない」と強調し、調剤薬局型スタイルを脱し「新しいスタイルの薬局を作らなければいけない」と、将来の新たな薬局定義を見据えて、対応を急ぐよう呼びかけた。今後の方向性としては、健康相談、OTC、介護用品などを提供する「健康サポート機能」と「医療サービスの提供」の「両方の機能を持っていなければならない」と指摘した。
山本氏はまず、厚生労働省が示す地域包括ケアシステム像に「調剤薬局」ではなく「薬局」と明記されたことを説明し、「薬剤師、薬局がたくさん働ける場がある。薬局は、医薬品だけでなく医療材料なども幅広く扱うべき。それを果たしてやれているのか」と問題提起した。
その上で、改正薬機法での薬局の新定義、改正薬剤師法で調剤薬以外の医薬品も含めた安定供給の義務化が明記されたことを「コペルニクス的変革」と表現し、改正法のどの項目よりも注目して対応すべきことだと強調した。
調剤薬局の先駆けと言われる「水野薬局」の水野睦郎氏が生前「調剤薬局の後始末をしなければならない」と語っていたことを披露。今、調剤薬局モデルの次のモデルを作っていく必要性が改正法の新たな定義に示されていることを説明した。
薬剤師・薬局機能の方向性として、患者・住民の抱える問題の相談に乗り、疾病の予防・健康維持、重症化予防・介護予防を図ることを示し、その中で医療提供者としてセルフケア・セルフメディケーションの提供、処方箋調剤、服薬モニタリングといった薬剤師としてのサービスを提供していく姿を提示した。
山本氏は「医薬分業とは医薬品を供給する仕組み。処方箋調剤は、医薬分業のほんの一部だ。いつでも、どこでも、誰でも必要な医薬品が手に入るシステム」とし、調剤機能に偏る薬局機能の転換を求めた。
さらに「国民には、このシステムをうまく使う知恵が必要」として、そのための「患者教育をしなければならない」との考えを示し、ヘルスリテラシー向上の必要性も指摘した。