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2020年に新たに特定された自己炎症性疾患「VEXAS症候群」、米国の推定患者数は?

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2023年02月03日 PM12:30

新たな自己炎症性疾患のVEXAS症候群、米国での有病率は?

2020年に特定された自己炎症性疾患であるVEXAS症候群は、炎症に起因する関節リウマチ、皮膚病変、肺病変、血液検査の異常所見などを呈する。そのため、この疾患の患者は、結節性多発動脈炎、再発性多発軟骨炎、巨細胞性動脈炎、Sweet症候群、(MDS)など、多岐にわたる診断を受けていることが多い。


画像提供HealthDay

このいまだ謎の多い疾患の米国での有病率について検討した研究結果を、米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部・生化学部・分子薬理学部のDavid Beck氏らが報告した。それによると、米国でのVEXAS症候群の推定罹患者数は1万5,000人以上に上り、その有病率は、さまざまなタイプのリウマチ性疾患の有病率よりも高いことが示されたという。研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に1月24日掲載された。

VEXAS症候群は、X染色体上のUBA1遺伝子に後天的に生じた変異により引き起こされることが明らかにされている。UBA1遺伝子は、タンパク質の翻訳後修飾の一種であるユビキチン化を開始させる酵素(E1酵素)をコードしている。VEXAS症候群の名称は、同疾患が特定される際に認められた患者の臨床的な特徴から命名されたもので、Vacuoles(空胞)、E1 enzyme(E1酵素)、X-linked(X連鎖性)、Autoinflammatory(自己炎症性)、Somatic(体細胞性)の頭文字を組み合わせたものである。

Beck氏らは今回、Geisingerヘルスシステムによる遺伝情報解析プロジェクトMyCode Community Health Initiativeへの参加者16万3,096人(平均年齢59.0歳、女性60.9%、白人96.7%)の末梢血由来ゲノムDNAのエクソームシーケンシングデータを用いて、UBA1変異の有無を調べた。

その結果、11人(男性9人、女性2人)で、UBA1遺伝子に病原性または病原性が疑われる体細胞変異が確認された。また、このような遺伝子変異が確認された全ての人に、VEXAS症候群の症状と一致する症状が認められた。この結果を米国の人口に当てはめると、50歳以上の男性の4,269人に1人、50歳以上の女性の2万6,238人に1人がVEXAS症候群の原因となるUBA1遺伝子変異を持っていると推定され、推定罹患者数は男性約1万3,200人、女性約2,300人と算出された。

Beck氏は同大学のニュースリリースで、「われわれの研究により、米国ではVEXAS症候群が、特に男性の間では、珍しい疾患ではないことを、初めてうかがい知ることができた。男性ではVEXAS症候群による死亡率も極めて高い」と述べている。同氏らによると、VEXAS症候群患者の半数は、診断から5年以内に死亡するという。

さらにBeck氏は、「この研究により、VEXAS症候群がリウマチ性疾患よりも頻発していることが明らかになった。それゆえ医師たちは、持続的で原因不明の炎症や低血球数、貧血が認められる患者に出会った際には、可能性のある診断名のリストにVEXAS症候群も加える必要がある」と主張している。なお、研究グループによると、同症候群の症状のコントロールに対しては、高用量のステロイド、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬、骨髄移植が役立つ可能性があるという。(HealthDay News 2023年1月24日)

▼外部リンク
Estimated Prevalence and Clinical Manifestations of UBA1 Variants Associated With VEXAS Syndrome in a Clinical Population

HealthDay
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Photo Credit: Adobe Stock
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