医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > プレミアム > 【薬価部会】複数の比較薬で薬価算定-ゾコーバ対応方向性を提示

【薬価部会】複数の比較薬で薬価算定-ゾコーバ対応方向性を提示

読了時間:約 1分56秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年02月03日 AM10:30

厚生労働省は、1日の中央社会保険医療協議会薬価専門部会に、高額医薬品となる可能性がある経口新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」について、薬価収載時や収載後の価格調整に関する対応の方向性を提示した。薬価収載時には類似薬効比較方式による算定方式を適用するものの、既存のコロナ薬とは対象疾患や対象患者が異なることから、抗インフルエンザ薬なども含め複数の比較薬に基づき薬価を算定するなど柔軟に運用できるようにする。収載後は市場規模を推計したデータに基づき、四半期ごとに直近3カ月のデータをもとに、年間販売額が推計1000億円超の薬剤を対象に薬価を引き下げる特例拡大再算定を判断する。

ゾコーバは感染動向の予測が困難な感染症治療薬で、急激な感染拡大によって高額医薬品となる可能性があることから、厚労省は同剤に特化した特例的な取り扱いとして、薬価収載時の薬価算定、収載後の再算定に関する対応の方向性を整理した。

既存のコロナ治療薬はギリアド・サイエンシズの「ベクルリー」が1治療当たり約25万円、MSDの「ラゲブリオ」が約9万円と算定薬価に差があるほか、対象疾患や対象患者がゾコーバとは異なる。そのため、収載時の薬価算定は類似薬効比較方式で対応するものの、比較薬の選定に当たっては、対象疾患や対象患者の類似性のいずれかを優先するかによって算定薬価が大きく変動する特殊性を考慮し、複数の比較薬に基づき薬価を算定することも可能との考えを示した。

適正使用に向けては、併用薬剤や妊娠の有無などの禁忌事項を確認した上で必要な患者に投与されるよう留意事項通知で明示するとした。

一方、収載後については、患者数推計が困難な感染症治療薬の市場規模を迅速に把握するため、通常の再算定ルールで評価・検証に用いられる薬価調査やNDBに代わり、新型コロナウイルスの感染状況、ゾコーバの投与割合、出荷量等の情報により市場規模(販売額)を推計したデータに基づき、年間販売額1000億円超、1500億円超を対象とした特例拡大再算定、四半期再算定の適用を判断し、必要に応じて価格調整を行う。

ただ、再算定による薬価の引き下げは医療機関・薬局の在庫価値を減少させ、経営に影響を与えるとの意見が出たことを踏まえ、医療機関・薬局における薬価改定への対応に要する期間を踏まえ、改定薬価の告示から適用までの期間は従来と同様に2~3カ月程度の猶予期間を設けるとした。

収載・再算定に向けた手続きについては、通常と同様に薬価算定組織で審議した上で中医協総会において確認を行い、薬価の告示を行う。また、1年間の期限が設けられた緊急承認の対象品目であるため、本承認後には速やかに中医協総会に報告し、審査結果等を踏まえ、改めて薬価について検討するとした。

次回は業界からのヒアリングを実施する。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 プレミアム 行政・経営

  • 【PMDA】コロナ薬投与で注意喚起-妊娠可能性ある女性に
  • 【薬価部会】不採算品再算定、対象絞り込みを-25年度中間年改定
  • 【厚労省調査】敷地内薬局、専門連携の1割-処方箋集中率は93.1%
  • 【臨試協調査】外資が日本を第I相拠点に-国内実施のメリット認識か
  • 【NPhA】半数以上が後発品を選択-長期品選定療養に一定効果