東京-神戸間において遠隔ロボット手術支援の実証実験
神戸大学は2月1日、約500km離れた東京と神戸の2拠点間で、スタンドアローン(SA)方式の商用の5Gを活用し、若手医師のロボット手術を熟練医師が遠隔地から支援する実証実験に国内で初めて成功したことを発表した。この実証実験は、同大、株式会社NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ株式会社、株式会社メディカロイド、神戸市が共同で実施したものだ。
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離れた2拠点間で一つの手術支援ロボットを操作する技術が実現すると、都市部の熟練医師の手術支援を地方部でも受けることができ、地域医療格差の是正により、日本のどこでも高度な外科医療を提供することが可能となる。また、遠隔指導による若手医師の教育の質の向上や、医師の働き方改革にも貢献する。さらに、5Gの活用により、各病院で特別なインフラを導入することなく、低コストで均一な通信品質を利用でき、手術室のケーブルレス化が可能になるなど、汎用性の高い遠隔医療ソリューションとしての活用が見込まれる。
この実証実験は、神戸市が産学官連携事業で推進している「神戸未来医療構想」の一環として行われている。これまでに5Gネットワーク技術のさらなる高度化や、手術支援ロボットの高機能化および無線ネットワークへの適用、動物モデルを用いた評価など、技術の積み上げを行い、ドコモの5G環境が導入された神戸の2拠点間において実証実験を重ねていた。早期社会実装に向けた検証の一つとして、地方部と都市部を想定し、国内の離れた地域において問題なく利用できることを確認するため、約500km離れた東京-神戸間において遠隔ロボット手術支援の実証実験を実施した。
手術支援ロボットにデュアルコックピットを新たに設置、スタンドアローン方式の商用5Gを活用
実証実験は、東京都港区にある赤坂インターシティコンファレンスと、兵庫県神戸市にある統合型医療機器研究開発・創出拠点(MeDIP)の2拠点間で実施。東京側に手術支援ロボット一式(オペレーションユニット、サージョンコックピット、ビジョンユニット)を、神戸側に遠隔操作用のサージョンコックピットを設置した。
手術支援ロボットには、遠隔ロボット手術支援において必須であるデュアルコックピットを新たに開発し、両拠点で同じ手術映像を共有しながら、音声コミュニケーションが取れ、状況に応じてロボットの操作権を切り替えることができる機能を導入した。
5Gネットワークは、東京側でノンスタンドアローン(NSA)方式、神戸側でSA方式を利用し、クラウド基盤(docomo MEC〔大分拠点〕、MECダイレクト)を介して2拠点間で大容量・低遅延・セキュアなネットワークを構築した。
神戸側の熟練医師が東京側の若手医師の模擬ロボット手術を支援
実際には、遠隔ロボット手術支援の利用シーンを想定し、東京側で若手医師が模擬のロボット手術を行い、神戸側の熟練医師が遠隔で手術状況を確認しながら、必要に応じて音声やロボット操作によって遠隔支援・指導を行えるかを評価した。その結果、デュアルコックピットでやり取りされる大容量データをリアルタイムかつセキュアに伝送でき、約500km離れた東京-神戸間において遠隔手術支援・指導が実現した。
今後、実用化に向けて行政や学会に制度設計の準備などの働きかけ
今後は、5Gを活用した遠隔ロボット手術支援ソリューションの実用化を目指し、臨床利用を想定した技術・機能の開発や、ロボット手術トレーニングなどの検証を進めるとともに、早期社会実装に向けて行政や学会に制度設計の準備などの働きかけを行うなど、パートナーと引き続き連携して取り組むという。「5G Evolution & 6G powered by IOWNの次世代ネットワークを導入し、より低遅延・高信頼な遠隔医療を実現することで、医療業界のさらなる発展に貢献していきたい」としている。
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・神戸大学 Research News