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【薬価部会】ゾコーバ薬価は高額薬対応-収載時や再算定ルール議論

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2023年01月27日 AM10:40

中央社会保険医療協議会薬価専門部会は25日、新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ錠」について、2022年度薬価改定骨子の高額医薬品に対する対応に基づき、具体的な薬価算定方法の議論を開始した。重症化リスクのない軽症から中等症患者と対象患者の範囲が広く、コロナ感染者数が増え、投与割合が大きく上昇した場合には年間市場規模1500億円超の高額医薬品となる可能性が生じたためだ。ゾコーバの医薬品としての評価を行うと共に、保険財政に与える影響を踏まえ、収載時の薬価算定方法や収載後の再算定ルールなどを個別に検討し、速やかに結論を得る。

ゾコーバは、2022年11月にコロナ軽症から中等症I患者を対象に国内で初めて緊急承認された。現在は、厚労省が所有した上で、都道府県が選定した医療機関・薬局からの依頼に基づき無償で譲渡されている。いずれは一般流通に移行し、薬価収載される見込み。

22年度薬価改定の骨子では、年間1500億円の市場規模を超えると見込まれる品目が承認された場合、通常の薬価算定手続きに先立ち、算定方法の議論を行うこととなっている。ゾコーバは、最初の対象品目となった。

厚労省は「現時点の投与患者数は陽性者の0.2%にとどまり、市場規模が大きくなることは考えにくいが、重症化リスクのある患者を対象とした既存の抗ウイルス剤と異なるゾコーバの位置づけを考えると対象患者は広く、年間市場規模が1500億円を超える可能性が否定できない」との見解を示した。

その根拠として、既存の経口薬「ラゲブリオ」の1治療当たり約9万円を当てはめ、2022年の感染者数の約1~2割に投与されたと仮定された場合に試算すると「2430億~4860億円」とした。

同部会では、高額医薬品となる可能性を踏まえ、ゾコーバの新規収載時における薬価算定や収載後の価格調整、対象患者がどうあるべきかを議論する。

類似薬効比較方式を原則とする新規収載時の薬価算定は、ゾコーバに比較薬の候補が存在するものの、対象疾患や投与対象患者のいずれかの類似性を優先するかによって比較薬が異なる。ベクルリーが1治療当たり25万円、ラゲブリオは9万円であるため、比較薬で算定薬価が大きく変わってしまう問題がある。

委員からは、対象疾患や投与対象患者の違いから既存薬との比較で薬価を算定することを疑問視する声が相次いだ。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「ゾコーバの臨床成績は5症状について24時間短縮される程度なので、その点を踏まえて留意すべき。既存薬のベクルリー、ラゲブリオを類似薬とするのは適当ではない」とした。

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「1治療当たりの薬価が異なることもある。従来のルールにこだわらずに柔軟に考えるべき」と語った。

支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)も「原価計算方式、市場拡大再算定、費用対効果評価で対応するのが基本線」と述べ、松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「類薬は経口抗インフルエンザ薬が近いのではないか」とした。

現在、エーザイが承認申請中の抗アルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」も承認されれば高額医薬品となる可能性が高いが、今回の議論については、「ゾコーバに限定した対応にすべき」との意見が相次いだ。

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