文部科学省は25日、2025年度から6年制薬学部の新設や定員増を抑制する方針を盛り込んだ大学等の設置認可基準を改正する告示案を中央教育審議会大学分科会に示し、了承された。薬剤師の地域偏在解消のため、抑制の例外となる地域の定員数については、厚生労働省で検討中の薬剤師の偏在指標の内容を踏まえ基準を定めるとした。
文科省が示した告示案では、現行の大学等の設置に関する認可基準について、「薬剤師養成に関する大学等の設置および収容定員の増加でないこと」を追記し、臨床薬学に関する学科の設置、収容定員の増加を抑制することとした一方、地域における薬剤師の数などを考慮し、薬剤師の確保を特に図るべき区域として文科相が定める基準に該当する地域は抑制の例外とした。
例外に当たる大学の認可申請の審査については、対象大学が実施予定としている地域における薬剤師確保のための教育内容、地域の医療機関・薬局に将来勤務しようとする学生に対する奨学金等の支援内容を確認した上で行うとした。
告示内容は10月1日から施行される。同日以降に認可申請が行われ、25年4月1日以降の設置を予定しているものが抑制の対象となる。告示の施行日までに認可申請について公表・契約しているものは、適用の対象外とした。
改正後の施行状況、地域の需要の観点から見た定員の状況を考慮し、施行後5年をメドに必要な場合は見直しなどの措置を取る。
告示内容について、越智光夫委員(広島大学長)は「遅きに失した感はあるが、正しい方向性」と評価。薬剤師の地域偏在解消を目的とした例外措置に関しては「地域枠の定員を数値化するところまで踏み込まなければ曖昧なままで、そう簡単には(薬剤師が)減らないと危惧する」とした。
地域枠の定員について、高等教育局医学教育課は「厚労省が検討している薬剤師の偏在指標の内容を踏まえ、基準を定めたい」と回答。また、既存の大学が学則変更で定員を増加させる場合については、「需給推計に基づく根拠を示してもらうと同時に、その地域に就職するために必要な奨学金等の支援を必ず紐付けるなどの措置を取って、地域に残る人材を確保したい」との考えを示した。