熟練医師の肌感を定量化、早期の発達障害検知に向けた動画分析技術開発へ
国立成育医療研究センターは1月11日、動画を活用した発達障害の自動スクリーニング技術開発に向け、共同研究を開始すると発表した。この研究は、同研究センターとエフバイタル株式会社の研究グループによるもの。
近年、発達障害に対する認知度の高まりに伴い、診断数はこの10年で10倍以上に増加。保護者の8割は、診断がつくよりも前に違和感に気付いており、対処法がわからず一人で悩んでいることが多くある。また、新生児科医は、新生児集中治療管理室(NICU)で新生児の様子を中長期観察する中で、発達障害の早期傾向を肌感覚で捉えている。経験を積んだ新生児科医や看護師では、NICU入院中から児の発達に関するリスクをある程度予測することができるという。
エフバイタルは、東京大学と筑波大学発のスタートアップだ。今回の研究では、同社が保有する子ども特化型の非接触バイタルセンシング技術を活用。熟練医師の肌感を定量化することで、早期の発達障害検知に向けた動画分析技術を開発する。より早期に子どもの特性を検出し、個々にあった働きかけや環境調整を早くから実践していくことで、発達障害の有無に関わらず全ての子どもが自分らしく生きられる社会の実現を目指すという。
新生児動画からデータを自動抽出、新生児の動き・泣きを長時系列で評価
今回の研究では、国立成育医療研究センターにおいて、保護者の同意を得た上で取得した新生児の動画を活用。動画から自動で抽出した姿勢・表情・心拍数等のバイタルデータをもとに、新生児の動きや泣きを長時系列で評価する。同研究センターでは、早産で生まれた子どもの多くを退院後も就学までフォローアップしている。フォローアップで来院した際の発達障害スクリーニング結果と、動画の解析結果を照合し、発達障害の早期兆候を明らかにしていく。
同研究の成果は、早期兆候の検出に留まらず、NICUの環境や退院後のフォローアップなど、発達障害に対する治療および療育そのものにも役立てていくことができる、と研究グループは述べている。
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・国立成育医療研究センター プレスリリース