文部科学省の2023年度予算案で科学技術予算は前年度比5億円増の9780億円を計上した。iPS細胞を用いた創薬研究の推進、創薬研究支援に向け遠隔の大学でも高度な研究機器等を利用できる環境の整備などを進める。
予算案では、健康・医療分野における研究開発の推進に848億円を計上。このうち、再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラムには91億5500万円を充てる。
チーム型研究の推進、次世代医療の実用化につながる革新的シーズの創出、中核拠点をハブとした連携・相乗効果の創出のほか、疾患特異的iPS細胞を用いた病態解明や創薬研究の推進などに取り組む。
生命科学・創薬研究支援基盤事業には36億3400万円を計上し、クライオ電子顕微鏡の自動化を推進するなど、遠隔の大学でも高度な研究機器等を利用可能な環境整備を進める。
次世代癌医療加速化研究事業には33億9900万円を充て、医療用RIを活用した癌治療創薬を中心とする核医学分野の技術開発、希少癌・難治性癌等のアンメットメディカルニーズに対応する戦略的研究開発への支援を強化する。
戦略的創造研究推進事業(新技術シーズ創出)には436億5000万円を充て、組織・分野の枠を越えた時限的な研究体制を構築し、イノベーションの源泉となる基礎研究を戦略的に進める。
創発的研究支援事業には2億2700万円を計上し、若手研究者を中心とした既存の枠組みにとらわれない自由で挑戦的な研究に専念できる環境を確保しつつ、最長10年間にわたり長期的に支援する。
高度医療人材の養成には新たに10億円を計上した。次世代の癌プロフェッショナル養成プランでは、創薬研究や個別化医療を担う人材の養成を行うほか、大学・大学病院において効率的で質の高い臨床教育・研究実施のための体制構築に関する優れた取り組みを支援する。