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【緩和医療薬学会】在宅緩和ケアで薬局認証-設備面や薬剤師の資質評価

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2023年01月11日 AM10:20

日本緩和医療薬学会は、緩和ケアの知識や技術を備えた薬剤師が従事し、必要な要件を備えた薬局を「」として認証する制度を立ち上げた。一定水準以上の緩和ケアを支援できる薬局を学会のウェブサイトで明示。地域で緩和ケアを受けたいと希望する患者や家族、病院の地域連携室担当者やケアマネージャーらの最適な薬局選びに役立ててもらう。今年度の申請受付は今月下旬まで。審査を経て4月に初の認証を行う計画だ。

緩和ケアに関する薬局のハード面の整備や実績、勤務する薬剤師の資質の両面を評価して認証する。

薬局のハード面では、▽地域連携薬局の認定取得または1年以内の取得予定▽医療用麻薬を取り扱っている▽医療用麻薬などの無菌製剤処理を実施できる体制の整備(無菌室共同利用可能)――を求める。

薬剤師の資質では、薬局で働く常勤薬剤師の1人以上について、▽同学会の会員であること▽5年以上の実務歴▽同学会の緩和薬物療法認定薬剤師の資格取得または取得予定▽緩和医療領域における3症例以上の薬学的介入の実施――などのほか、同学会が開催する研修の受講が必要となる。

必要な研修の一つが地域緩和ケアネットワーク研修になる。同学会が研修施設として認定した病院に薬局薬剤師が出向き、計40時間の研修を受けるもの。病院内で行われる実際の退院調整業務などを経験し、病院と地域をつなぐ緩和ケアの円滑な連携を実現する上で、必要な知識や技術を身に付ける。同研修を申請後2年以内に修了することを求める。

もう一つの研修は、同学会が開催する「在宅緩和ケア総論」の受講。在宅緩和ケアに関わる薬剤師や多職種の役割、情報共有、麻薬の適正使用と管理など9本の講演をオンラインで約3時間視聴し、総合的な知識を修得してもらう。制度開始に当たって新設したこれらの研修によって、一定以上の資質を有する薬剤師がその薬局にいることを学会として保証する。

今年度の新規申請の申込期間は今月20日まで。書類審査を経て3月下旬に合否が決定し、4月1日に認証を実施。薬局の名称や所在地、連絡先などを同学会ウェブサイトで公表する。

薬局選びに役立ててもらうためには、認証を受けた薬局が全国各地に存在する必要がある。当面は、年間50軒ほどの薬局の認証取得を目指し、将来は地域連携薬局と同程度の数に増やしたい考え。

同学会の会員数は約3750人。病院薬剤師が約2690人と多数を占めるが、薬局薬剤師の会員も約750人存在する。緩和薬物療法認定薬剤師の取得者は772人で、このうち薬局薬剤師は67人。地域緩和ケアネットワーク研修は現在約15人が受講している。薬局認証の要件として、認定薬剤師の取得予定者、研修の修了予定者など枠を広めに設定しており、多くの薬局に認証取得に挑戦してほしいという。

同学会は、地域で活躍できる薬剤師の育成や地域緩和ケアの推進を支援する方針を掲げ、具体的な方策を検討する地域連携委員会を2021年6月に発足させている。具体策の一つとして今回、薬局の認証制度を構築した。そのほかにも、在宅緩和ケア研修プログラムを新たに立ち上げ、在宅緩和ケア入門塾、在宅緩和ケア教育セミナーの2種類を提供している。

同委員会の小林篤史委員長(カリン薬局)は「学会として地域の患者が在宅緩和ケアを必要とした時に、どの薬局に来てもらえばいいのか迷わないよう薬局の見える化をしたかった」と強調する。

在宅医療では、医療機関と薬局のペアが固定化される傾向が強いが、認証制度の構築によって、緩和ケアの患者は専門的な薬局の薬剤師が担うなどの役割分担が進めば、その領域で取り組みを進める薬局にとって励みになるという。

来年度以降、患者の家族らを対象に、認証制度の有用性を調べる計画。認証制度が薬局選びに役立ったか、最期まで安心して支えてくれる薬剤師と出会うことができたかなどを聞き取り、数値化して成果を示したい考えだ。

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