厚生労働省は15日、医療保険制度改革に向けた議論の整理案を社会保障審議会医療保険部会に示し、概ね了承された。今後、座長一任で取りまとめる。2024年度からの第4期医療費適正化計画策定に向け、後発品の使用促進に関する新たな数値目標を設定する際には「医薬品の安定供給に留意すること」を追記。構成員から「安定供給への留意ではなく、確保と明記してほしい」との強い書きぶりが求められたため、文言の修正が行われる可能性がある。
議論の整理案では、医療費適正化対策の実効性確保の項目で後発品の使用促進に必要な取り組みを明記。医薬品の適正化に効果が期待されているフォーミュラリについては「地域の実情に応じて推進する」から「検討・推進する」に修正した。
また、厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の議論内容やバイオ後続品に関する目標設定を踏まえ、「医薬品の安定的な供給に留意しつつ、新たな後発品使用促進に関する数値目標を設定する」とし、安定供給に配慮する必要性も記載した。
当初の提示案にはなかったリフィル処方箋の推進については、「地域差の実態等を確認した上で、必要な取り組みを進めること」との文言を追加した。
重複投薬・多剤投与の適正化に向けては、複数種類の医薬品の投与の適否については一概に判断できない点に留意することとした上で、現行15種類以上としている多剤投与の基準について、くすりの適正使用協議会や調剤報酬で「6種類以上」と基準が設けられていることを踏まえ、取り組みの対象を広げることとした。
渡邊大記委員(日本薬剤師会副会長)は、安定供給に留意して後発品の数値目標を設定するとの文言が反映されたことを歓迎しつつ、「後発品の供給不安は患者に大きな不安を与えているため、留意ではなく安定供給の確保を明言してほしい」と要望した。
猪口雄二委員(日本医師会副会長)も「安定供給が第一の基本であることをしっかりと記載してほしい」と注文を付けた。