厚生労働省は12日、塩野義製薬が緊急承認を取得した新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」について、100万人分を追加購入する契約を同社と締結した。15日から都道府県が選定した薬局等でも同剤を取り扱えるよう拡大する方針を踏まえたもの。
同剤は緊急承認後、安定供給の面から国が全量を買い上げた上で、11月28日から既存のコロナ治療薬「パキロビッド」の処方実績がある医療機関・薬局に供給していた。
加藤勝信厚生労働相は13日の閣議後会見で、今月12日時点で約4800軒の医療機関・薬局が同剤取り扱い医療機関等として登録したことに言及。このうち、発注があった約3万6000人分を実際に供給し、約2600人に投与済みとしている。
その上で、同社が必要な準備を整えたため、15日から都道府県が選定した医療機関・薬局でも取り扱うことを可能とした。
取り扱い医療機関等の拡大により供給量の増加が見込まれることから、安定供給できるよう同社と100万人分の購入に関する追加契約も行った。
加藤氏は「今後、感染が拡大した場合でもゾコーバを必要とする人により確実に処方できると考えている。治療薬の普及に向けて引き続き取り組んでいきたい」と述べた。
一方、塩野義は、現在は政府買い上げを前提としている同剤について、今後一般的な医療用医薬品と同様の流通に移行できるよう厚労省との相談を進めるとしている。