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HPVワクチン接種、SNSでの情報提供と介入により接種意思が向上-秋田大

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2022年12月16日 AM09:30

どのような啓発活動が接種意思の向上につながるか、大学生を対象に調査

秋田大学は12月13日、ヒトパピローマウイルスワクチン()接種の啓発活動について、秋田県内の4大学の学生を対象にSNS(LINE)による介入効果を検討した結果を発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科衛生学公衆衛生学講座の野村恭子教授、医学部医学科5年生の太田友氏と、医学科の学生によるもの。研究成果は、「Vaccines」に掲載されている。

日本では、2013年から2021年にかけて、ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)の積極的勧奨が差し控えられていたが、2022年4月に積極的勧奨が再開された。積極的勧奨差し控えの期間にHPVワクチン接種を逃した人を対象に、2025年までの3年間という期限を設けキャッチアップ接種が行われている。

HPVワクチンの接種率向上に向け、啓発活動が必要だ。そこで研究グループは、ランダム化比較試験により、(1)HPV関連情報を提供する際の媒体(LINE群 vs. 郵送群)による効果、(2)SNSのより有効な情報提供の方法としてLINEを用いた頻回な介入と会話の場の提供(LINE-assisted intervention群vs. 無介入群)による効果を検討することにした。

情報提供媒体、介入方法の違いによる接種意向との関連は?

秋田県内の4大学の学生を対象に、HPVワクチン接種未完了の18~35歳の男女学生を募集した。357人(女性53%)をLINE群(n=178)と対照群(n=179)に性別で層別化し無作為に割り付けた。

1回目の介入では、LINE群と対照群(郵送群)にそれぞれLINE、郵送を用いてHPVおよび子宮頸がんに関する情報を提供した。2回目の介入では、LINE-assisted intervention群には週5日、7週間に渡って情報提供と参加者が自由に発言できる場を提供し、対照群(無介入群)では無介入とした。それぞれの介入後の約1か月後に自記式質問票を配布した。

調査項目は、基本的特性(性別、年齢、学部、喫煙歴、飲酒歴)、HPVワクチン接種意思(直ちに、半年以内に、1年以内に、3年以内に、受けようと思わない、わからない)、知識、ヘルスリテラシー、ヘルスビリーフモデル(罹患性、重大性、利益、障壁)とした。接種意思は、「直ちに」〜「3年以内に」を「接種意思あり」とした。知識は、HPVワクチンに関する20個の質問を行い、正解数を算出、中央値以上未満で2値化した。接種意思および知識・ヘルスリテラシー・ヘルスビリーフモデル(HBM)をアウトカムとし、性別で層別化した層別化ロジスティック回帰分析を用いた。

LINE-assisted intervention群の接種意思は66%に向上

合計357人の未接種男女(女性53%、平均年齢20歳)がベースライン調査に回答し、3年以内の接種意思ありは、LINE群40%、対照群42%だった。

1回目介入後調査では、LINE群と郵送群では、接種意思(51% vs. 40%)および知識、ヘルスリテラシー、HBMに有意差を認めなかった。群内比較では、LINE群において接種意思および知識・ヘルスリテラシー・HBM(罹患性・重大性)のレベルが向上し、郵送群では知識およびヘルスリテラシー・HBM(罹患性・重大性)が向上していた。LINE、郵送ともに情報提供の効果を認めた。さらに2回目介入後調査では、 LINE-assisted intervention群において接種意思(66% vs. 44%)が向上していた。

「LINEと郵送という媒体の違いによらず両者とも知識・ヘルスリテラシー・HBM(罹患性・重大性)の向上を促すことが示されたが、LINE群では知識およびヘルスリテラシー・HBM(罹患性・重大性)に加えて接種意思が向上しており、LINEを用いた情報の提供がより効果的と考えられる。また、頻回な介入と会話の場の提供を行うことはSNSのより有効な利用方法であると考えられる」と、研究グループは述べている。

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