いまだ長期処方が続くベンゾジアゼピン、処方医が抱える困難感が関係?
秋田大学は12月13日、ベンゾジアゼピン減薬中止困難感に関連する因子の調査結果を発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科精神科学講座の竹島正浩講師、三島和夫教授、琉球大学精神病態医学講座の高江洲義和准教授、聖路加国際大学大学院看護学研究科の青木裕見助教、聖マリアンナ医科大学総合診療内科の家研也准教授、杏林大学医学部精神神経科学教室の渡邊衡一郎教授、坪井貴嗣准教授、北里大学医学部精神科学の稲田健教授、かつもとメンタルクリニックの勝元榮一医師、宗像水光会総合病院の津留英智医師、日本医療福祉生協連合会家庭医療学開発センターの喜瀬守人医師らの研究グループによるもの。研究成果は、「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載されている。
ベンゾジアゼピンは、不安や不眠に対して広く使われている薬剤だ。一方、長期服用により依存を形成することがあるため、漫然とした長期服用は推奨されていない。ベンゾジアゼピンの長期処方については、医薬品医療機器総合機構や学会などが繰り返し警鐘を鳴らしているが、いまだベンゾジアゼピンの長期処方は国内外で続いている。この背景として、減薬中止の方法やタイミングがわからないなど、処方医が抱える困難感が関係している可能性が示唆されていた。しかし、これまでその実態について調査されていなかった。
そこで、研究グループは今回、日本プライマリ・ケア連合学会、全日本病院協会、日本精神神経科診療所協会に所属している医師962人へのアンケート調査を実施。ベンゾジアゼピン減薬中止困難感に関連する因子について、調査した。
精神科医は「中止による離脱症状出現や精神症状悪化」、非精神科医は「中止戦略」に困難感
調査の結果、ほとんどの医師がベンゾジアゼピン中止に対して困難感を有していた。精神科医はベンゾジアゼピン中止による離脱症状の出現や精神症状の悪化に対して、非精神科医は中止戦略(減薬方法、減薬開始タイミング)に対して、より困難感を有していたという。多変量解析では、ベンゾジアゼピン中止困難感と心理社会療法に負の関連があることが示された。
今回の研究より、医師に心理社会療法のトレーニングを行い、ベンゾジアゼピンの中止困難感が減じてベンゾジアゼピンの中止率が向上することにより、ベンゾジアゼピンの長期処方が抑制される可能性が示唆された、と研究グループは述べている。
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・秋田大学 プレスリリース