秋田県と、自殺死亡率の高い/低い府県の労働者を比較
秋田大学は12月13日、秋田県および他の9府県の勤労者約1万人を対象に行ったメンタルヘルスに関するオンライン調査の結果を発表した。この研究は、同大自殺予防総合研究センターの宮本翔平特任助教らが行ったもの。調査結果は、同大のウェブサイトに掲載されている。
画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)
働く人の自殺予防対策を行う上で、どのような人が自殺リスクを抱えているか、不調を抱えた時に誰に相談したいかを知ることは重要だ。以前に、秋田県民のみを対象にした調査が行われていたが、他県と比較した調査は行われていなかった。
今回の調査は、秋田県と自殺死亡率の高い4県である青森県、岩手県、新潟県、福島県と、反対に自殺死亡率の低い5府県である岡山県、京都府、神奈川県、鳥取県、愛知県の経営者・被雇用者を対象にオンライン調査を行い、結果を比較することで秋田県の働く人の特徴を明らかにすることを目的に行われた。
10府県の小規模事業所の労働者に、不調を抱えたときに誰に話したいかなどを質問
調査対象は、上記10府県の、職場の人数が50人未満の20~59歳の小規模事業所経営者および被雇用者。条件を満たす人を各府県で1,000人ずつをサンプリングした。また、調査はオンライン調査会社の登録モニターを対象とした。調査内容は、基本属性(居住地、性、年齢、婚姻状況、職場での立場、最終学歴)、不調を抱えたときに誰に話したいか(家族、友人、同僚、経営者または上司、医療機関)、自殺のリスク(精神的な不調:K6、希死念慮、自殺念慮)。調査は2022年2月26日〜3月8日に実施され、1万731人から回答を得た。
秋田県の中高年男性の勤労者は、自殺死亡率の低い地域と比べ、自殺念慮を抱きやすい
調査の結果、秋田県の中高年男性の勤労者の8.8%が自殺念慮を抱いており、自殺死亡率の低い地域と比較するとオッズ比で2.16倍自殺念慮を抱きやすいということがわかった。この他、秋田県を自殺死亡率が低い地域と比較すると、経営者・家族従事者は不調を抱えた時に家族に話したい傾向にあること、被雇用者は不調を抱えた時に医療機関を受診したい傾向にあることがわかった。
研究グループは、「今後は、中高年男性にむけた自殺対策の必要性や家族や友人の不調に気づく従来型のゲートキーパーの養成に加えて、働く人に向けたゲートキーパーの養成が必要」と、述べている。
▼関連リンク
・秋田大学 プレスリリース