厚生労働省は、筋弛緩剤「スキサメトニウム注射剤」について、麻酔時や気管内挿管時の筋弛緩に用いる場合には代替治療を検討するよう医療機関等に要請した。安定供給に支障が出ている現状で、比較的必要度の高い精神神経科における電撃療法での使用を優先するよう求めた。
スキサメトニウム注射剤は、麻酔時、気管内挿管時、精神神経科における電撃療法などに使用される筋弛緩剤。特に電撃療法では必要度が極めて高い筋弛緩剤に位置づけられている。
スキサメトニウム注射剤として、丸石製薬の「スキサメトニウム注『マルイシ』」、杏林製薬の「レラキシン注用」が製造販売されているが、原薬製造メーカーが2021年行政処分を受けたため注射剤の製造が困難となり、現在は限定出荷としている。丸石と杏林は現時点で新たな原薬製造メーカーの選定には至っておらず、安定供給に支障が出ている状況だ。
そのため、今回の要請では、治療が必要な患者に優先的に注射剤を届けるため、安定供給が再開する当面の間は代替治療のない電撃療法を実施する際の筋弛緩への使用を優先し、麻酔時、気管内挿管時の筋弛緩には可能な限り代替治療を検討するよう求めた。