中央社会保険医療協議会薬価専門部会は7日、2023年度の中間年改定に向け、製薬業界からのヒアリングを行った。日本製薬団体連合会などが「物価高騰や円安の影響で薬価を引き下げる状況にはなく、実施するのであれば薬価引き下げ率の緩和などの措置が必須」と主張したのに対し、診療側・支払側委員からは「具体性に乏しい」「薬価だけでは下支えできない」など否定的な意見が出た。
日薬連の岡田安史副会長は、特許期間中の新薬や安定確保医薬品、薬価調査以降に薬価収載された品目、需要が極めて小さく実勢価格が把握できなかった品目については、「改定の対象品目とすべきではない」とした。物価高騰で採算性が悪化している品目については、薬価改定に関係なく安定供給確保のために緊急的に薬価を引き上げる措置を要求した。
日本医薬品卸売業連合会の鈴木賢会長は、2%の調整幅について、「医薬品流通安定のための多様な機能を果たしており、引き下げを行わないようにしていただきたい」と訴えた。
診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は新薬のイノベーション評価を要望する製薬企業の説明に対し、「具体性に乏しい」と批判。「新薬の薬価算定方式である原価計算方式では、新薬の製造原価開示度が低いまま推移している。前回改定を超える対応をするのは慎重に対応すべき」と語った。
安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)も、後発品の安定供給問題について「薬価で下支えすることだけでは解決できない」と指摘した。
これら指摘に対し、岡田氏は「一義的にGMP違反が発端となって問題になっており、製薬企業に問題がある」と認め、「足下で火事になっているところにどう手を打つかということで提案させてもらった」と述べた。