仮名加工情報に関するICを受ける手続きも見直す。現在は、作成済みの仮名加工情報のみに限って研究利用時にICが不要となっており、新たに仮名加工情報を作成する場合はICが必須となり、年数の経過した過去の患者からICを取得することは困難であるとの指摘が出ていた。
改正案では、自研究機関で保有している情報から研究者等が新たに仮名加工情報を作成して研究に用いる場合の手続きについて、必ずしも研究対象者等のICを受ける必要がないと記載した。ただ、ICを受けない場合には、研究対象者一人ひとりに文書で説明・同意を取る必要がないものの、研究の概要などを通知・公開する「オプトアウト」の手続きで実施できるとした。
他の情報と照合しても個人の特定ができない匿名加工情報の研究利用については、研究対象者のIC取得が困難な場合に限りICが不要となっていたが、この要件を削除する。
オプトアウトの手続きについても、研究対象者が研究内容を知り得る状態となるよう、掲載場所のルール策定やホームページ上での周知を推進するため、研究機関の長の責務としてオプトアウトの適切な実施を確保すべきである旨を明記した。
日本の研究機関との共同研究でない研究や日本の研究者等が参加していない日本国外における研究についても、国内から国外にある研究者等に既存試料・情報の提供を行う場合は指針の対象であることを明確化する。
他の研究機関に既存試料や情報をオプトアウトで提供しようとする場合は、自研究機関で保有している試料や情報を研究に用いる場合の手続きと整合を図るため、「当該既存試料を用いなければ研究の実施が困難な場合であること」を要件とし、制限を課した。
また、個人情報等に関する研究対象者等の同意は「適切な同意」が必要とされているが、個人情報保護法の本人の同意にかかる要求を満たす旨がより明確になるよう定義の記載の適正化を図る。