日本臨床薬理学会は、高度な知識と経験をもとに臨床研究の立案や支援を行う専門家を養成するため、2023年度に「認定臨床研究専門職制度」を創設する予定だ。5年以上の関連業務実績と認定薬剤師等の要件を満たした会員を認定するもの。臨床研究の実施件数が停滞している状況を解消し、研究の質向上につなげる。
同制度は、臨床研究に関する高度な知識と卓越した技能、経験を持ち、倫理的・科学的に適正な臨床研究を立案、計画、実施、支援する学会員を対象に認定するもの。具体的には、特定臨床研究において研究代表者(PI)の伴走者として、研究計画の作成、実現、実施に貢献する人材と位置づけ、計画作成から実施における実務を進め、質の高い計画に必要な臨床薬理学、疫学、研究倫理等の知識、オペレーションスキルを備えることも求める。
要件として、臨床研究関連業務を専任(業務全体の5割以上)として5年以上の実績を持ち、臨床薬理専門医、認定薬剤師、認定臨床研究コーディネーター(CRC)か、指定された臨床研究・臨床薬理関連の共通(基礎)コースを全て履修していることを求めている。データマネージャーやプロジェクトマネージャーでは、より俯瞰的な視点が必要として医療職種でない人も認定対象としている。
臨床研究の実施をめぐっては、PIに依存し、人員が不足する中で試験実施中のプロセス管理が追いつかない現状がある。
1日に横浜市で開かれた同学会学術総会で、植田真一郎理事長(琉球大学臨床薬理学教授)は、臨床研究法施行後に製薬企業以外が拠出した資金による研究が激減したことや、新型コロナウイルス感染症関連の臨床研究実績が諸外国よりも遅れを取っていることなどを指摘。制度創設の理由として「研究は多職種によって成り立っているが、特に特定臨床研究では全ての専門職を揃えるのは不可能だ。薬物動態や疫学などのバックグラウンドを持ちPIと伴走する専門職が必要」と説明した。