富山県内医療保険の被保険者104万8,309人のNDBデータを分析
富山大学は12月2日、レセプト情報・特定健診等情報データベースから抽出された医療費関連のデータ(NDBデータ)を分析した結果、富山県は脳卒中と糖尿病の受療率と1人当たり医療費が、全国平均より高いことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院博士課程の渕上貴正医師、地域連携推進機構地域医療・保健支援部門 副部門長の山田正明准教授らの研究グループによるもの。
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研究グループは富山県保険者協議会の委託を受け、県内医療保険の被保険者104万8,309人を対象にNDBデータセットを分析した。なお、同データは各都道府県で医療費適正化計画に活用するため、厚生労働省から県に提供されたもの。
75歳以上の後期高齢者群で脳卒中と糖尿病が全国平均より高い傾向
5つの生活習慣病(糖尿病、高血圧、脳卒中、虚血性心疾患、脂質異常症)の受療率(患者数を被保険者人口で除したもの)および1人当たり年間医療費を算出し、年齢調整を行って全国平均と比較。その結果、脳卒中では全体の受療率で+3.9%、医療費では+4.2%と、それぞれ高いことがわかった。また、糖尿病に関しても、それぞれ同+1.9%、+1.7%高い値だったという。
次に、上記の受療率と医療費を3種類の保険者種別(国保組合および被用者保険、後期高齢者、市町村国保)に分けて分析した結果、75歳以上の後期高齢者群で脳卒中と糖尿病において、全国平均より高い傾向が明らかになった。
市町村国保群の労働世代、脳卒中や虚血性心疾患になってから受診している可能性
また、65歳未満の労働世代を対象に2つの保険者間(国保組合及び被用者保険vs市町村国保)で受療率の比較を行った結果、脳卒中、糖尿病、虚血性心疾患において、市町村国保群の受療率が高い傾向にあり、逆に、高血圧や脂質異常症では市町村国保群の受療率が低い結果だった。
このことから、市町村国保群の労働世代の人は高血圧や高脂血症では受診せず、脳卒中や虚血性心疾患になってから受診をしているという可能性があるという。
「脳卒中」を減らすことが富山県の重点課題
これらの結果から、全体としては脳卒中を減らすことが富山県の重点課題と言える。「市町村国保群の労働世代に対して高血圧、高脂血症の受診を促すなどの各保険者の特徴を考慮した生活習慣病対策が、医療費適正化につながると期待される」と、研究グループは述べている。
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