皮膚科、消化器内科、歯科のHAEに詳しい医師が対応
一般社団法人遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(略称「DISCOVERY」)と株式会社インテグリティ・ヘルスケアは12月1日、遺伝性血管性浮腫(HAE)の診断・治療に関する医師・歯科医師からの相談を、オンライン診療システム「YaDoc Quick」を用いて、HAE専門医が遠隔(ビデオチャット)で受け付ける無料サービス「Doctor to Doctor遠隔相談」の実運用を開始したと発表した。
HAEは、遺伝子の変異が原因で主に血中C1インヒビター(C1エステラーゼインヒビターまたはC1インアクチベーターともいう)の低下およびその機能が低下する疾患(まれにC1インヒビターの量、機能共に正常なタイプも存在する)。体のいたるところに2~3日持続する腫れやむくみ(血管性浮腫という)を繰り返す。個人差はあるが、10歳から20歳代に発症することが多い。皮膚(手足、顔面、生殖器など)が腫れた場合は、一見すると「じんま疹」に似ていることがあるが、強いかゆみを伴わないのが特徴だ。のどが腫れる場合は呼吸困難に陥り、生命の危険をきたす可能性がある。また、腹(胃や腸)が腫れると腸閉塞と同様に嘔吐したり、強い痛みを感じることがある。
DISCOVERYは、HAEと診断されずに症状に苦しむ患者のために、適切な早期診断および診断率の向上を目指す取り組みを行っている。その取り組みの一貫として、インテグリティ・ヘルスケアが開発する「YaDoc Quick」を使用した「Doctor to Doctor遠隔相談」の体制を構築した。遠隔相談では、専門医(HAEを専門に診療している医師)として皮膚科、消化器内科、歯科医師が対応を行っており、希望の相談先を選択できる。
HAE患者の管理や治療の相談が可能、早期診断の一助に
実証事業およびテスト運用において、実際に遠隔相談を利用した医師および歯科医師から有用なサービスであるとの評価を受け、12月1日から実運用が開始された。HAEが疑われるが診断に迷う患者、原因不明の腹痛発作や口・目・四肢の腫れ等の血管性浮腫症状を呈する患者、HAEと確定診断しているが管理に困難を要している患者に対する診断や治療方針になどに関して相談することが可能だ。相談申し込みの窓口はDISCOVERYのWebページに公開されている。
DISCOVERYのワーキンググループ2統括リーダーで、大阪医科薬科大学医学部感覚器機能形態医学講座皮膚科学の福永淳准教授は、次のように述べている。「当法人は、希少疾患であるHAEの早期診断と診断率向上を目指し活動している。この度、医師・歯科医師がHAEに詳しい専門医にオンラインで無料相談できる仕組みを構築した。今後、この仕組みが全国の医師・歯科医師へ広がることで、診断されずに困っているHAE患者さんの早期診断の一助になり、将来的にはこのシステムが遠隔診療に波及することを願っている」。