妊娠中の高血圧に対し使用可能な薬剤ではコントロール不可のケースがあった
国立成育医療研究センターは12月1日、妊婦への投与が禁忌となっていた高血圧治療薬「アムロジピン」「ニフェジピン」について、禁忌の項目から妊婦が除外されることになったことを発表した。これは、同センターによる情報収集・評価報告を受け、11月22日に行われた厚生労働省薬事・食品衛生審議会薬事分科会の医薬品等安全対策部会安全対策調査会において禁忌解除の妥当性が認められことに基づくものだ。
妊娠中の高血圧は母子に悪影響を与えるといわれており、適切に血圧を管理することが重要だ。しかし、現在の添付文書で妊婦に使用が認められている医薬品のみの使用では血圧がコントロールできない妊婦がいた。
妊娠と薬情報センターは、厚生労働省事業として2005年10月に国立成育医療研究センター内に設置された。妊娠中や妊娠を希望される女性で、妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方の相談に対応している。この他にも「妊婦・授乳婦を対象とした薬の適正使用推進事業」では、添付文書の記載内容を検討する情報提供ワーキンググループを設置し、妊娠と薬情報センターへの相談で寄せられた情報を分析・評価し報告している。これまでに、免疫抑制剤3剤(シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリン)について提出した報告書が妊婦禁忌解除につながっており、妊娠中もこれらの医薬品が必要な女性が使用を検討できるようになっている。
2剤の妊娠中の使用を調査「先天異常の発生するリスクを大きく増加させるとは考えにくい」
今回、妊娠と薬情報センターが設置する情報提供ワーキンググループは、「アムロジピン」と「ニフェジピン」の2剤の妊娠中の使用による胎児への影響について情報収集・評価を行い、「先天異常の発生するリスクを大きく増加させるとは考えにくい」という結論に至った。
この結論に基づき、2剤の添付文書における妊婦への使用について禁忌解除を求める報告書を厚生労働省に提出。そして、11月22日に行われた厚生労働省薬事・食品衛生審議会薬事分科会の医薬品等安全対策部会安全対策調査会において禁忌解除の妥当性が認められ、禁忌の項目から妊婦が除外されることとなった。
同センターは「高血圧の治療に通常使用されるカルシウム拮抗薬(アムロジピンとニフェジピン等)は、副作用が少なく効果が高い医薬品である。使用禁忌の対象から妊婦を外すことで、妊娠中の高血圧治療において「アムロジピン」と「ニフェジピン」を必要とする女性が安心して使用できる環境を整備することができた」と、述べている。
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・国立成育医療研究センター プレスリリース