薬局の対人業務充実を目指し、厚生労働省の「薬局薬剤師の業務および薬局機能に関するWG」の取りまとめで調剤業務の一部外部委託を行う方向性が示されているが、この日の作業部会では、委託先・委託元の物理的な距離制限を行うこと、対象を一包化と取り揃えに限定することの合理性に関して議論した。
対象範囲や距離要件については、「観念的なリスクの提示にとどまって客観的な証拠が提示されておらず、海外の状況調査も行われていない。エビデンスもなく主観的」との指摘も出ている。
規制改革推進室は、特区制度を活用して調剤業務の一部外部委託に関する実証事業を行い、結果を踏まえて制度設計を目指すとした案を提示。厚労省が距離制限や対象業務の範囲等を改めて検討し、作業部会に報告することになった。
具体案として、検証期間は数カ月程度とし、委託元・委託先の薬局が共に同一の三次医療圏内にある場合、隣接する三次医療圏にある場合について検証する。
また、一包化のための薬剤の取り揃え、取り揃え後の一包化、患者宅への配送の各段階における委託元・委託先の安全性と効率性の増減を確認するほか、一包化された薬剤の対象患者に湿布など他の薬剤が処方されている場合、それを委託対象としないことで安全性等に増減があるかどうかも検証する。患者満足度の変化も検証対象とした。
委託元・委託先において、一人当たり処方箋40枚とする現行の薬剤師員数規制を満たした上で、実証事業の実施に必要な現実の薬剤師・非薬剤師の人員も検証対象とした。
この案について、作業部会に出席した日薬の参考人は「特区制度で何が何でも早期に実施することは、医療安全の観点から反対する」との見解を示した。
他の委員からも「患者の安全を守るのが第一」「40枚規制を一旦維持した上で実証事業を行うことには反対」などと反対の声が相次いだ。
規制改革推進室は「実証事業自体に反対する意見はなく、方法の問題」と捉え、実施を目指して関係省庁や地方創生推進事務局と調整を行う考え。