厚生労働省の医療機器・体外診断薬部会は28日、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時流行に備え、両抗原を同時に検査できる抗原定性検査キットのOTC化を了承した。部会での了承後、厚労省が同時検査キットを一般用検査薬として取り扱う際の指針案を作成し、都道府県に通知した。29日の薬事・食品衛生審議会調査会で一般用検査薬のリスク区分を決定し、部会での議論を経て告示改正手続きなどを行った後、承認を取得した同時検査キットから薬局などでの一般流通を開始する。
同時検査キットの一般的名称は「一般用SARSコロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原キット」。生体由来の試料を用い、SARSコロナウイルス抗原、インフルエンザウイルス抗原の検出を同時に行うことを目的としている。
測定方法は、イムノクロマト法に基づき、使用者が自ら必要に応じてキット付属の綿棒などを用いて鼻腔ぬぐい液を採取し、簡便に検査を行うことができるものとした。陽性・陰性の判定方法は、検査キットにおける判定部のラインの有無により目視判定を行う。
28日現在で診断薬メーカー10社から新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス感染症の抗原簡易検査キット12製品が販売されており、一般用検査薬として承認された段階で厚労省ホームページで公開する予定。インターネットでの販売も可能となる。
既に承認されている医療用抗原定性同時検査キットと同一でない製品を一般用検査キットとして申請する場合は、承認申請の区分は承認基準外品目とし、原則として「臨床性能試験」の提出を必須とすることとした。
同時検査キットをめぐっては、22日の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、コロナとインフルエンザの同時流行に備え、「自己検査用のキットについて新型コロナの抗原定性検査キットを基本としつつも、一つの選択肢として同時検査キットの一般向け販売を可能とすること」との方針で議論され、厚労省として同時検査キットについてOTC化の検討を進めることとなった。
部会では、委員から薬剤師が消費者に操作方法などを十分に説明する必要性が指摘されたものの、同時検査キットのOTC化に異論は出なかった。