加藤勝信厚生労働相は25日の閣議後会見で、緊急承認された塩野義製薬の経口新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ錠」について、当初予定から前倒し、きょう11月28日から供給開始する方針を示した。当初は12月初頭を予定していたが、同社との調整や流通システムの準備作業が円滑に進んだためとした。
同剤については現時点では安定供給が難しいとして、国が全量を買い上げた上で、緊急承認から2週間程度は既存のコロナ治療薬「パキロビッド」の処方実績のある医療機関・薬局に、12月初頭から供給開始する予定を示していた。
加藤氏は「国民に速やかに届けられるよう塩野義と緊密な調整を重ねた結果、購入契約を締結して約100万人分全てが既に納入され、流通システムの準備作業も円滑に進んだ」と説明。そのため、当初の予定を前倒し、発注受付を24日から開始して28日から本格的に供給をスタートする考えを示した。一部医療機関については、早ければ25日から供給する。
加藤氏は、確保量を約100万人分とした背景について、「重症化リスクのある人以外も投与対象となり、高熱や強い喉の痛み等がある人に投与し、重症化リスクのある人には既存の治療薬を使用してもらうことを前提とすると、大体100万人分あれば対応できる」と説明した。
同剤は、5月に創設された緊急承認制度が初めて適用された医薬品となったが、加藤氏は同制度の今後のあり方にも言及。「承認に際しては様々な議論があるので、議論を整理した上で今後の承認をどう捉えるかをまずは省内で議論したい」とした。