沖縄県は人口10万人当たりの薬剤師数が全国最下位で薬剤師の地域偏在解消が大きな課題となっている。薬学部設置に関する基本方針の素案では、慢性的で深刻な薬剤師不足を解消するため「県内に薬学部を設置することにより地域内で安定的に薬剤師を育成する環境を整えることが不可欠」と指摘。薬学部を設置する大学については、薬学部進学を望む県内の高校生等の経済的負担や近年設置された薬学部の状況を踏まえ、「県内の国公立大学であることが望ましい」とした。
薬学部設置を支援する大学の選定については、現在琉球大学と名桜大学の2校が候補に挙がっている。条件に適合した薬学部について県が選定を行うため、薬学部設置を希望する大学の設置主体から基本方針を踏まえた薬学部新設構想を受け付け、有識者会議での検討を踏まえ、基本方針で示した条件等に適合し、最も趣旨に適い、実現可能性のある構想を一つ採択するとした。
薬学部設置の留意事項として、▽入学定員を100人程度▽卒業生が沖縄県に残り、慢性的な薬剤師不足の解消に寄与する方策を講じる▽教員の確保に際し、過度の引き抜き等で地域医療に支障を来さない方策を講じる(広く全国から公募を行うこと、既存の大学や医療機関、地方公共団体等との連携により計画的な人材確保を行うことなど)▽新しい薬学教育のモデル・コア・カリキュラム等に定める教育目標への到達に必要な教育環境を確保する――などを示した。
今年度中に基本方針をまとめ、来年度に大学を選定し、24年度に基本構想、25年度に基本計画の策定、その後に建設工事などを行い、29年度に文部科学省に申請、30年度に認可、31年度に開学というロードマップを描いている。
協議会の概要は開示していないが、委員から基本方針の素案に関する意見が相次ぎ、「ある程度内容の修正が必要になる」(県保健医療部衛生薬務課)としている。来年早々にも第3回協議会を開催し、基本方針案を固める方針だ。