■薬局での供給に影響
一部の広域卸が医薬品の土曜日配送中止を決定する動きに対し、薬局が困惑している。千葉県薬剤師会が会員薬局を対象に実施した調査によると、土曜日に対応できる卸がなくなると「非常に困る」「困る」との回答が約8割に上り、既に「患者の治療が遅れる」などの弊害が出ているという。後発品の欠品・出荷調整で医薬品の調達が難しい中、卸の土曜日配送中止が追い打ちをかける。今後、東京都、神奈川県、埼玉県の薬剤師会とも協力し、調査範囲を拡大する予定で、調査結果をもとに土曜日配送の継続を国に要望していく構えだ。
6月に千葉県薬の会員薬局に対し、医薬品卸から土曜日配送の中止が通告されたことを受け、7月11~15日にFAXとオンラインで「医療用医薬品配送実態調査」を実施。FAX479件とオンラインフォーム356件の計835件の回答を得た。
医療用医薬品の取引卸が何社あるかを聞いたところ、「6社」が36%、「5社」が26%、「4社」が24%、「3社」が9%、「2社」が4%、「1社」が1%だった。
現在、土曜日の配送に対応している卸は「1社」が35%と最も多く、「0社」が34%、「2社」が20%、「3社」が8%と少ない現状が明らかになった。
今後、土曜日配送を中止する予定の卸は「0社」が74%、「1社」が18%、「2社」が3%となった。土曜日配送に対応する卸がなくなった場合、どのように感じるかを質問すると、「非常に困る」が48%とおよそ半数を占め、「困る」が32%。「困らない」はわずか9%だった。
後発品の出荷停止や出荷調整の混乱で、薬局は患者が求める医薬品を供給できていない状況にある。自由回答でも、土曜日の配送がなくなることで患者への不利益となることが指摘された。
具体的には、「金曜日夕方に在庫のない処方が出た場合には月曜日になってしまう」「月曜日に祝日が多いので、金曜日に不足すると4日飲めないことになってしまう可能性がある」との意見が出た。
さらに、「金曜日の午後に在庫がない薬が処方されると、週明けまで薬を待てない場合は患者さんに他に行ってもらうことになる。在庫がある薬局がすぐに見つかればいいが、たらい回しになる可能性もある」との懸念も示された。
一方、卸に対する要望では、「全ての卸が休日営業するのは非効率だと思うが、医薬品卸も輪番制や配送料を取るなどの形で構わないので、金曜日配送以降に来てしまった処方箋にも対応できる体制を整備してほしい」「薬剤によっては卸1社限定というものもあり、そこが対応していただけないと患者に投与できないということが発生し、非常に困る」との意見が上がった。
千葉県薬でも、土曜日配送を中止した県内の卸営業所がどの程度あるかは掴めていないという。千葉県医薬品卸協同組合には、今後の対応について検討するよう文書で要望した。
千葉県薬の横田秀太郎常務理事は「コロナ拡大前は1日午前・午後2便配送だったが、コロナ拡大後は1日午後配送のみとなった。土曜日配送中止の方向に進むと困る薬局は多い」と危機感を示す。患者宅に郵送・宅配便の対応となった場合でも、郵便も土日郵送中止であるため、患者宅に届くのが遅れ、代替手段がない。
横田氏は、「医薬品を備蓄している処方元医療機関の門前薬局に戻す患者さんも出てくる可能性もある。かかりつけ薬局・薬剤師の定着も進まなくなるし、院外処方の根本も揺らぐのではないか」と懸念を示す。