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子どもの「神経性やせ症」、コロナ禍で増加したまま高止まり-成育医療センターほか

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2022年11月21日 AM10:40

2022年4月~5月末に全国30医療機関で実態調査

国立成育医療研究センターは11月17日、全国30医療機関(31診療科)で行った新型コロナウイルス感染症流行下の子どもの心の実態調査から、2020年度に増加していた神経性食欲不振()の初診外来患者数と新入院患者数は、2021年度も男児、女児ともに減少することなく高止まりであることが判明したと発表した。同調査は、同センターが中央拠点病院として運営を担う「子どもの心の診療ネットワーク事業」で、2022年4月~5月に実施されたものだ。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

神経性やせ症は、摂食障害の一つ。極端に食事制限をしたり、過剰な食事後に吐き出したり、過剰な運動を行うなどして、正常体重より明らかに低い状態になる疾患だ。病気が進行すると、日常生活に支障をきたすこともある。アメリカ精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル第5版()では、1)正常の下限を下回る低体重、2)肥満恐怖あるいは体重増加を妨げる行動の持続、3)自己評価に体重や体型が不相応な影響を受け、低体重の深刻さが認識できない、などの特徴が挙げられている。

新型コロナウイルス感染症の流行で、子どもたちの生活も大きく変わり、長期化によって心にもさまざまな影響を及ぼしている。同事業では、コロナ禍の子どもの心の実態調査を把握するため、2022年4月~5月末に調査を実施した。同事業とオブザーバー協力機関の全国30医療機関(31診療科)にアンケートを送付し、20歳未満の患者について回答を得た。(なお、神経性やせ症と神経性過食症を合算で回答した2機関および単年度分のみのデータ提出だった2機関は、このプレスリリースの集計からは除外している)

2020年度に引き続き2021年度も外来患者数、入院患者数ともに高止まり

調査の結果、コロナ禍で、食事を食べられなくなる神経性やせ症が増加し、2020年度に引き続き2021年度も外来患者数、入院患者数ともに高止まりしたままであることがわかった。一方、摂食障害の患者のための病床数が、2020年度に引き続き不足していることもわかった。摂食障害の病床充足率(現時点で、摂食障害で入院している患者数/摂食障害の入院治療のために利用できる病床数×100)は、2019年度と比べ、2020年度、2021年度に高止まりまたは増加している病院が多く、中には300%を超える病床充足率の病院もあった。

摂食障害を治療できる医療機関が少ないという課題

これらの結果から、摂食障害を治療できる医療機関が少ないこともあり、特定の病院に入院患者が集中していることが推測される。また、神経性やせ症の患者増加の背景には、新型コロナウイルス感染症の流行による生活環境の変化によるストレス、感染拡大による休校・学級閉鎖、行事などのアクティビティが中止になったこと、新型コロナウイルス感染症への不安などがあると推測される。さらに、「コロナ太り」対策のダイエット特集の報道やSNSでの情報や、運動を推奨する教員や保護者などからのアドバイスに、子どもたちが過度に影響を受けた可能性も考えられる。

家族や教育機関で気を配り、深刻な状態になる前に受診を

コロナ禍の長期化で、2020年度と変わらず神経性やせ症の患者数が高止まりしている状況で、入院病床数を確保することが必要になっている。また摂食障害を診察できる医療機関の拡充も求められている。研究グループは、「神経性やせ症の場合、本人が病気を否認して医療機関での受診が遅れがちだ。子どもの食欲や体重の減少に家族や教育機関で気を配り、深刻な状態になる前に、まずは内科、小児科などのかかりつけの医を受診することが必要だ」と述べている。

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