日薬連が提示した物価高騰の影響に関するデータによると、医療用漢方製剤では全体の59%、血液製剤が45%、外用製剤塗布剤が48%、輸液製剤が58%の品目で不採算に陥っていた。幅広い範囲の医薬品の製造コストに影響を与え、結果として採算性が著しく悪化しており、基礎的医薬品や安定確保医薬品など、特に医療上の必要性の高い医薬品も含まれていた。
さらに、後発品では製造原価上昇率の加重平均値が8.2%に達し、薬価に対する製造原価の上昇率は6%程度と見積もった。
業界代表の赤名正臣専門委員(エーザイ常務執行役)は、「2016年12月の四大臣合意から状況が変わり、原価高騰や円安進行が影響を与えていることを考えると、中間年改定で薬価を引き下げる状況ではない。採算性が悪化している医薬品は薬価引き上げを検討すべき」と主張した。
診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会理事)は、「医薬品の供給問題は深刻な問題で、現場では供給問題の対応で疲弊している。各自の努力と工夫によって凌いでいるが、致命的なフェーズが来ている」と危機感を示し、「不採算品を安定供給するための措置は必須。算定ルールとは別に緊急的な対応として実施することが必要」と要求した。
長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「足下の課題を踏まえた上で、どのような検討が考えられるのか具体案を中医協で考えるべき。安定供給確保という理由だけで薬価を引き上げるのではなく、患者も納得でき、企業の合理的な対応の有無も考えた上で検討することが必要」とした。
一方、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、不採算品の薬価対応について、「最低薬価と基礎的医薬品ルールの薬価維持で対応し切れないことを具体的に説明していただかないと判断できない。対応するにしても、物価高騰だからといって一律に引き上げるのは容認できない」と述べた。