薬事・食品衛生審議会薬事分科会と医薬品第二部会の合同会議は22日、塩野義製薬の経口新型コロナウイルス感染症治療剤「ゾコーバ錠125mg」(一般名:エンシトレルビルフマル酸)の緊急承認の可否を審議する。7月の審議では有効性等に対する疑義が相次いだことから継続審議となっていたが、主要評価項目を達成した第III相試験の結果等を踏まえて審議を再開。国産コロナ治療薬として初の緊急承認薬となるかが改めて注目される。
審議再開の理由について、厚生労働省は「資料が提出され、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査が完了して審議の準備が整ったため」と説明。当日の審議に際しては、「第III相試験の結果が重点的に議論されるとは思うが、国内第IIb相試験も含めて総合的に検討される」との見通しを示した。
同剤をめぐっては、第IIb相の主要評価項目の結果等を踏まえて6月の部会で緊急承認の可否を審議したものの、有効性に対する賛否が委員から相次いだことを踏まえ、分科会との合同会議に結論を先送りすることを決めた。
翌7月に公開で行われた合同会議でもPMDAは、「第IIb相試験データでは試験の成功基準を満たしたとは考えにくい」と科学的根拠に基づく有効性の推定には当たらないとの見解を示し、第III相試験データ提出後に改めて審議する「継続審議」の扱いとすることを提案した。委員からも、同剤の有効性に対する疑義が複数上がったほか、催奇形性など安全性に対する懸念も示されたため、継続審議を決めていた。
塩野義は、軽症・中等症患者を対象とした第II/III相試験の最終段階において、オミクロン株流行期に特徴的な鼻水や咳の呼吸器症状等の症状消失までにかかる時間がプラセボ群と比べて約24時間短縮し、主要評価項目を達成したことを9月に発表していた。