中央社会保険医療協議会薬価専門部会は9日、2023年度に実施される中間年改定に向け、中長期視点で薬価・流通制度などのあり方を考える「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」が取りまとめた議論の論点を共有した。厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の安藤公一課長は「来年4月に有識者検討会の取りまとめを行う。論点としては短期的な対応は考えていない」と説明。議論の方向性が2023年度中間年改定に及ぼす影響は限定的となりそうだ。
中間年改定に向けた議論の進め方については、有識者検討会での検討を踏まえ、中医協で議論を深めることとなっている。厚労省は、これまで5回の開催で議論の論点を整理し、薬価専門部会に示した。
全体的課題として、医療保険制度の持続可能性を確保した上で、革新的な医薬品の創薬力の強化や迅速導入、医薬品の安定的な供給を図る観点から今後の薬価制度、マクロ的な視点から総薬剤費のあり方を検討する。
革新的な医薬品では「患者視点を踏まえ迅速な導入が図られるよう議論を行う必要がある」と明記。新薬創出等加算や市場拡大再算定の運用や制度のあり方や薬価算定ルールの改定頻度を検討していく。
医薬品の安定供給については、中小の後発品メーカーを中心に少量多品種の製造が行われている産業構造や、特許切れ直後の品目に偏った現在の収益構造の見直しを論点とした。最低薬価、不採算品再算定、基礎的医薬品等の必要な薬価を維持する仕組みについて、運用や制度のあり方を検討する。
薬価差については、薬価差が生じる構造を踏まえ、医薬品の取引条件や取引形態の違い、医薬品流通、医療機関等の経営への影響を考慮しつつ、薬価改定のあり方を検討するとしている。