厚生労働省は1日、モデルナの新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス筋注」(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン)について、オミクロン株BA4/5系統を追加し、起源株と合わせた2価ワクチンとする一部変更を特例承認した。18歳以上の人に追加接種として使用し、初回接種完了から3カ月以上空けることを求めている。
10月31日の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で特例承認して差し支えないと判断した。
審査では、同一変異株内の系統間の株変更について、ウイルスの抗原性が大きく異ならないため、株変更前後のワクチンで得られる免疫原性も大きく異ならないことが想定されるとした。そのため、9月に行われた同株BA1対応の2価ワクチンに関する承認審査の際に臨床データが評価されているとして、BA4/5対応の2価ワクチンも欧米と同様に、臨床データの提出を待たずに評価を行い、承認後に臨床データの提出を求めることとした。
有効性については、非臨床試験の結果から追加接種でBA4/5の2価ワクチンを投与したマウスで起源株、デルタ株、オミクロン株に対して幅広い中和抗体の誘導が見られ、BA5を含めた変異株に対して幅広い予防効果や、BA5に対する感染防御効果も期待されるとした。
また、承認済みのBA1対応2価ワクチンと同系統のBA4/5の配列を用いたワクチンであることを踏まえ、安全性に影響を及ぼす可能性は低いとした。
接種対象年齢は18歳以上で、前回接種から少なくとも3カ月経過後、追加免疫として1回0.5mLを筋肉内に接種する。海外では、米国、欧州、カナダ等で承認済み。
BA4/5系統に対応した2価ワクチンとして、既に10月5日にファイザーの「コミナティRTU筋注」が特例承認されており、初回接種を完了した12歳以上の人を対象としている。