アモキサピン製剤をめぐっては、ファイザーの「アモキサンカプセル、同細粒」などから発癌可能性があるニトロソアミン類のN-ニトロソアモキサピンが検出されたことを受け、同社が安全性評価を実施。結果がまとまったことを受け、厚労省がこの日の調査会で評価報告書を公表した。
報告書では、N-ニトロソアモキサピンが発癌性を有すると仮定した場合の発癌性リスクの程度について、同剤75mg、同300mgを一生涯70年間毎日服用、曝露した際の発癌リスクは、75mgでは20万人に1人、300mg投与では5万人に1人が過剰に発癌するリスクに相当すると記載した。
N-ニトロソアモキサピンの発生原因として、アモキサピンの骨格中に含有する反応性の高い2級アミンが、製造工程で残った残留亜硝酸塩と反応して発生する可能性があるとした。
同社は今後の対応として、8月時点で使用期限を迎えていない全アモキサピン製剤については、急激な減量や投与中止により、悪寒や情動不安等の離脱症状が発現するリスクを考慮し、移行期間を設けた上で来年2月に自主回収に着手するとした。
来年1月以降に出荷予定のアモキサピン製剤のロット(最大全14ロット)については、モニタリングのため、N-ニトロソアモキサピンに関する定量試験を実施する。
移行期間では投与量の漸減が想定されることなどを踏まえ、同社は「移行期間にアモキサピン製剤の投与を継続することによる患者の安全性リスクは受容できるもの」とした。
報告書について、三村將参考人(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室教授)は「発癌性の算出方法に異論はなく、リスクはかなり低い」との見解を示し、「使用患者数は2021年で約8万7000人と推定されているが、今後はさらに減少するのではないか」と述べた。
また、出荷停止を見越した患者への対応については、「移行期間において、ガイドラインに沿ってSSRIなど新しいタイプの治療薬に切り替えることは十分にできる」との考えも示した。