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【速報】ブタの日本脳炎抗体保有状況2022、西日本中心に17県で保有確認-感染研

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2022年10月20日 AM11:06

11県で調査したブタの80%以上でHI抗体保有

国立感染症研究所は10月18日、都道府県別の「ブタの日本脳炎抗体保有状況-2022年度速報第11報」と題した速報を同研究所のウェブサイトに掲載した。調査したブタの80%以上にHI抗体保有が認められた地域は11県、2-ME感受性抗体が検出された地域は14県あったとし、日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus:)の感染に対し注意喚起している。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

2022年度(調査期間:2022年5月~9月)におけるブタの抗体保有状況は下記の通り。JEVに感染したブタが認められた地域は17県で、秋田県、茨城県、千葉県、神奈川県、静岡県、三重県、広島県、島根県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県、福岡県、熊本県、佐賀県、長崎県、沖縄県。

調査したブタの80%以上にHI抗体保有が認められた地域は11県で、千葉県、静岡県、三重県、島根県、香川県、徳島県、高知県、福岡県、熊本県、佐賀県、長崎県である。

また、2-ME感受性抗体が検出された地域は14県で、秋田県、茨城県、千葉県、神奈川県、静岡県、三重県、島根県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、熊本県、佐賀県、長崎県である。

ブタ抗体保有状況はJEVの活動が推測される地域を示唆

日本脳炎は、日本を含め東南アジアを中心に広く常在した疾患で、JEVに感染した者のうち100~1,000人に1人程度が発症すると推定される重篤な急性脳炎である。ヒトへの感染は、イエカ属の蚊(日本では主にコガタアカイエカ)がJEVに感染したブタ等を刺咬・吸血し、その後ヒトを吸血することにより感染する。

1960年代までは毎年夏から秋にかけて多数の日本脳炎患者が発生しており、ブタの感染状況からJEVが蔓延している地域に多くの患者発生がみられた。1960年代の日本脳炎の患者が多数発生していた環境では、日本脳炎患者が検出される時期に先行してブタのJEVに対するHI抗体の上昇が確認されていた。

現在は、日本脳炎ワクチン接種の普及や生活環境の変化等により、日本脳炎患者報告数が毎年10例前後に減少しており、ブタの感染状況と患者発生数は必ずしも一致していない。しかし、ブタの抗体保有状況はウイルス陽性蚊の存在している地域を間接的に示唆すると推測され、このような地域ではヒト感染のリスクが高くなっていると考えられる。2015年には10か月齢の小児にも感染が確認されている。

日本脳炎ワクチン未接種者、乳児、高齢者は注意を

日本脳炎の定期予防接種は、第1期(接種回数は初回2回、追加1回)が生後6か月から90か月に至るまでの間にある者、第2期(1回)は9歳以上13歳未満が接種対象であるが、平成7年4月2日(1995年4月2日)から平成19年4月1日(2007年4月1日)までに生まれた者で積極的勧奨の差し控えなどにより接種機会を逃した者は、20歳になるまでの間、定期接種として合計4回の日本脳炎ワクチンの接種が可能となっている。

また、平成19年4月2日(2007年4月2日)から平成21年10月1日(2009年10月1日)までに生まれた者に対しても、生後6か月から90か月未満のみならず9歳以上13歳未満の間にも、第1期(3回)の不足分を定期接種として接種可能である。ただし、生後90か月(7歳半)以上9歳未満は定期接種として接種することができないので、注意が必要である。

令和3年度は、日本脳炎ワクチンの供給量が減少していたため、1期の優先接種が行われてきたが、令和3年12月より供給が再開され、令和4年度からは全接種対象者の接種が可能となっている。詳細は市区町村からの案内あるいは厚生労働省のホームページを参照されたい。

同研究所は、「それぞれの居住地域における日本脳炎に関する情報にも注意し、JEVが活動していると推測される地域においては、日本脳炎の予防接種を受けていない者、特に乳幼児や高齢者は蚊に刺されないようにするなどの注意が必要である」と、呼びかけている。

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