厚生労働省は、スマートフォンで簡便に患者副作用報告を行うことが可能になるよう患者副作用報告システムの改修を行う。既にスマートフォンから副作用報告を行う仕組みはあったが、パソコンで利用する場合の副作用報告システム画面がスマホ画面に表示される運用となっているため、新たにスマホ用システムを構築する。従来よりも副作用を報告しやすいシステムとし、報告件数の増加につなげたい考えだ。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、2018年度から患者副作用報告制度をスタートした。20年度の医薬品副作用報告を見ると、製薬企業からの報告が82%と多くの割合を占めた一方、患者副作用報告は0.2%にとどまっていたが、新型コロナウイルスワクチン接種を契機に21年度の患者副作用報告は1955件と20年度の126件から一気に増加している。
患者副作用報告件数の増加につなげるため、スマホで簡便に患者副作用報告を行えるシステムの改修費用として23年度予算で3300万円を概算要求した。
厚労省は「様々な形でいち早く副作用情報を収集するきっかけを増やさないといけない」と説明。医薬品副作用被害救済制度もインターネットを介した情報提供を通じて請求件数を伸ばしてきたため、「患者副作用報告件数も同様に増やせるのではないか」と期待する。
具体的には、治験で情報が収集できない妊婦などをターゲットに位置づけて情報を収集できる仕組みを整備し、効果的な安全対策につなげたい考えである。