現行の添付文書では、腎機能障害患者で同剤の曝露量上昇が見られたこと、国内臨床試験で横紋筋融解症関連の有害事象の発現割合が比較的高かったことなどを踏まえ、「血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上またはクレアチニンクリアランスが40mL/分未満の腎機能障害のある患者」への投与を禁忌としている。
日本動脈硬化学会は2019年、本来使用されるべき患者への投与ができず、脂質異常症改善の恩恵を受けられない不利益が生じており、国民の健康増進が阻害されかねないとして、添付文書の見直しを求める要望書を厚労省に提出した。
学会の要望を受け、興和は高度腎機能障害患者を対象に製販後試験を実施。その結果、新たな安全性上の懸念は見られなかったものの、現時点では使用経験が限られているとして、慎重投与の規定を設けることが適切とした。
製販後試験の結果を踏まえ、同社が添付文書改訂を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に相談し、8月12日付で同学会が高度腎機能障害患者を禁忌の項目から削除するよう求める要望書も厚労省に提出した。
この日の調査会で厚労省は、禁忌の対象とされている患者について、禁忌の項目から削除した上で「慎重投与」に移行し、「用法・用量に関連する使用上の注意」の項目で最大用量は1日0.2mgまでとする注意喚起を行う添付文書改訂案を提示。
高度腎機能障害患者については、腎機能障害の指標をeGFRとし、eGFRが30mL/分/1.73m2未満の患者とした。
■フルナーゼ「第1類」に
一方、この日の調査会では、要指導医薬品でグラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパンの鼻炎治療剤「フルナーゼ点鼻薬(季節性アレルギー専用)」(フルチカゾンプロピオン酸エステル)、一般用医薬品第1類でロート製薬の鼻炎治療剤「ロートアルガードクリアノーズ季節性アレルギー専用」(フルニソリド)のリスク区分を審議した。
フルナーゼは製造販売後調査の終了に伴うもので、2019年11月からの約3年間で副作用は20例27件報告された。内訳は、異常感、無嗅覚、鼻閉、鼻漏などが見られたが、重篤な副作用は確認されなかった。製販後調査が終了したロートアルガードクリアノーズは、18年12月からの3年間で副作用が2例3件報告されたが、重篤な副作用は確認されなかった。
これら安全性に関する状況を踏まえ、委員からリスク区分の見直しに反対意見はなく、フルナーゼは一般用医薬品の第1類に移行し、ロートアルガードクリアノーズは指定第2類に引き下げることを了承した。