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デルタ株・オミクロン株流行期の妊婦新型コロナ患者の実態調査-成育医療センターほか

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2022年09月28日 AM10:51

入院した妊婦コロナ患者対象、デルタ流行期111人、オミクロン流行期199人

国立成育医療研究センターは9月26日、・オミクロン株流行期における妊婦の新型コロナウイルス感染症入院例の臨床的な特徴を分析した研究結果を発表した。この研究は、同センター感染症科の庄司健介医長、国立国際医療研究センター国際感染症センター・AMR臨床リファレンスセンター応用疫学研究室の都築慎也医長らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Infection and Chemotherapy」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

新型コロナウイルス感染症では、その時に流行している変異株の種類により、臨床症状や重症度などが異なることが知られているが、これまで日本の妊婦におけるデルタ株とオミクロン株流行期の妊婦新型コロナウイルス感染症の臨床的特徴に関する情報は限られていた。「COVID-19 Registry Japan」(COVIREGI-JP)は日本最大の新型コロナウイルス感染症関連のレジストリである。今回研究グループは、COVIREGI-JPを利用して、妊婦の新型コロナ感染症入院患者における、1)デルタ株流行期とオミクロン株流行の臨床的特徴の違いを比較すること、2)-重症に至った患者の特徴を明らかにすること、の2つの目的についての検討を行った。

対象は2021年8月~2022年3月の間にCOVIREGI-JPに登録された妊婦新型コロナ感染症の入院患者。患者背景、重症度、治療内容などのデータを集計・分析した。デルタ株・オミクロン株流行期の臨床的特徴についての比較検討のほか、軽症と中等症-重症の患者背景について、多変量解析を用いて、中等症から重症に関連する要因を探索した。期間中に1万4,006人の患者情報が登録され、そのうち研究対象となった妊婦の入院患者は310人だった(無症状患者38人を除く)。内訳は、デルタ期の妊婦111人、オミクロン期の妊婦199人だった。

オミクロン期の患者は咽頭痛が多く、倦怠感、嗅覚・味覚障害が少ない傾向

臨床的特徴について、オミクロン期の患者は、デルタ期の患者に比べて鼻汁(26.1% vs 15.3%)、咽頭痛(52.8% vs 37.8%)が多く、倦怠感(29.6% vs 43.2%)、嗅覚障害(1.5% vs 18.9%)、味覚障害(2.5% vs 16.2%)が少ないという結果だった。

中等症-重症患者は「デルタ期」「妊娠中期以降」「ワクチン2回接種未完了」に多かった

今回の研究での定義による中等症-重症患者と、軽症患者の多変量解析では、デルタ株流行期、妊娠中期以降のオッズ比(95%信頼区間)はそれぞれ2.25(1.08-4.90、P=0.035)、2.08(1.24-3.71、P=0.008)、とそれぞれ有意に中等症-重症と関連していることがわかった。一方、ワクチン2回接種完了はオッズ比(95%信頼区間)0.34(0.13-0.84、P=0.021)と、中等症-重症となることを防ぐ方向に関連していることがわかった。同様の検討をオミクロン株流行期の患者に限って実施したところ、ワクチン接種についてはオッズ比(95%信頼区間)0.40(0.15-1.03、P=0.059)と有意差は認めなかった。

流行している変異株により臨床的特徴が変化、情報アップデートの継続が必要

今回の研究により、日本の妊婦新型コロナウイルス感染症のデルタ期とオミクロン期の臨床的特徴の違いが明らかとなったことは、今後の妊婦新型コロナ感染症の診断、治療、予防を考えていく上での重要な基礎データとなると考えられる。

研究結果の留意点として、いくつか挙げられる。オミクロン株の中で現在流行しているBA.5がまだ存在しなかった時期に実施されているためその影響は検討できていない。患者それぞれからデルタ株やオミクロン株が証明されているわけではなく、あくまでそれぞれの株が国内の主流であった時期の患者を比較した研究であるということも考慮が必要だ。また、レジストリに登録された患者は日本全体の患者の一部であり、すべての新型コロナウイルス感染症患者が登録されているわけではないこと、「中等症-」の定義は同研究で定めた定義であり、国内で用いられている定義と完全に一致しているわけではない点も挙げられる。

「今回の検討でも明らかであったように、流行している変異株によりその臨床的特徴が変化していくため、今後も最新の情報を用いた解析を実施し、情報をアップデートしていくことが必要と考えられる」と、研究グループは述べている。

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