加藤勝信厚生労働相は22日、専門紙と共同会見し、2023年1月の電子処方箋運用開始に向けた課題として、薬局等におけるシステム改修や電子署名の普及率などを高める必要があるとの考えを示した。来年度に実施が見込まれる薬価の中間年改定の具体的内容については、中央社会保険医療協議会で議論するとした。
加藤氏は、今後の医療提供体制について「質が高く効率の良い医療を提供することが不可欠で喫緊の課題」との認識を示した上で、「重複投薬のカット、飲み合わせの悪い薬の排除に加え、研究開発にも貢献するため、創薬と治療法の開発にもつながることが期待される」と医療分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していく考えを改めて強調した。
このうち、電子処方箋については、導入予定施設のシステム改修や電子署名を完了した薬局等の割合を高めることが課題とした。10月末から全国4地域で実施予定のモデル事業に関しては「どのような使い方がうまくいくかを検証しながら、円滑な導入を図りたい」と述べた。
来年度の実施が見込まれている薬価の中間年改定については「実施を前提に薬価調査を進めている」とした一方、具体的な改定内容に関しては「国民皆保険の持続性とイノベーションが両立できるよう業界、医療機関、薬局と中医協で議論を進めたい」との考えを述べるにとどめた。
新型コロナウイルスに対する抗原定性検査キットが8月にOTC化されたことに関連し、インフルエンザなどコロナ以外の感染症に拡大することについては、「メーカーにはコロナ、インフルエンザの検査キット生産にまずは取り組んでもらうが、これを超えた能力は見出しにくい」と否定的な見解を示し、「まずはコロナの検査キットを確保して一般の人もすぐに使用できる状況にし、医療機関でもインフルエンザに対する検査キットの確保に全力を挙げたい」とした。
20日の自民党厚生労働部会で、新興感染症に対する自治体の権限や検査体制の強化などを盛り込んだ感染症法改正案が了承されたことについては、「次期国会に提出し、速やかに成立が図れるようにしたい」と述べた。