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心拡張機能障害、睡眠時の無呼吸や質低下が未発症時からのリスク因子と判明-兵庫医大

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2022年09月28日 AM10:45

心不全未発症452人対象、睡眠の問題が心拡張機能障害へ及ぼす影響を解析

兵庫医科大学は9月22日、心不全未発症の段階で睡眠時の無呼吸と質の低下がそれぞれ独立して拡張機能低下の進行を予知しうることを、前向きな研究で初めて明らかにしたと発表した。この研究は、同大糖尿病内分泌・免疫内科学講座の木俵米一大学院生、角谷学講師、小山英則主任教授ら、医療統計学の大門貴志教授、循環器・腎透析内科学の朝倉正紀教授、石原正治主任教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of American Heart Association」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

日本では近年、心不全の罹患率が増加している。特に、左室の収縮機能は保たれているものの拡張機能のみが低下した心不全(Heart Failure with preserved Ejection Fraction:HFpEF)の病態に注目が集まっており、その予防やリスク因子の抽出は喫緊の課題だ。一方、心不全患者では、睡眠時の無呼吸、睡眠の時間や質の低下といった睡眠の問題を合併している割合が高いことが以前から報告され、睡眠が心不全発症に影響する可能性が推測されていた。しかし、無呼吸や時間、質などの睡眠の問題を定量的かつ同時に評価し、心不全未発症の段階において、心拡張機能に対しそれぞれがどのような影響を及ぼすかを統合的に検討した研究はこれまで報告がなかった。

研究グループはさまざまな代謝疾患や動脈硬化の発症に、客観的に定量化した睡眠や疲労、自律神経機能などの神経内分泌学的機能がどのように関与するかを明らかにするため、HIC事業の一環として本学でHyogo Sleep Cario-Autonomic Atherosclerosis(HSCAA)コホート研究を実施している。今回の研究では、同コホート研究に登録された患者のうち、心不全未発症の対象者計452人において、睡眠時の無呼吸、睡眠の時間と質が心拡張機能障害の進行にどのように関連するのかを前向きに検討した。

中~高の睡眠時無呼吸/睡眠の質低下、将来の心拡張機能の低下と有意な関連

カプランマイヤー解析の結果、中から高程度の睡眠時の無呼吸を有する患者、並びに睡眠中の体動が多く質の低下した患者では、明らかに将来の心拡張機能障害を来す割合が高いことが判明。一方、睡眠の時間については心拡張機能との明らかな関連は認められなかった。これらの因子の影響を患者背景も含めて検討したCox比例ハザードモデルでは、中から高程度の睡眠時の無呼吸を有する患者、並びに質の低下した患者では、将来の心拡張機能の低下と依然有意な関連を示しており、さらに、これらの関係は互いに独立したものであった。

同研究結果より、心不全未発症の段階から、睡眠時の無呼吸や睡眠の質の低下は、心拡張機能障害の進行に対し、互いに独立した重要な予知因子であることが確認された。このことは、将来の心不全発症の予防の観点では、普段の睡眠中の無呼吸の程度や、睡眠の質にも着目する必要があることを示しているという。

影響のメカニズムなど要検討

今回の検討では、睡眠時の無呼吸や質の低下が、心不全未発症の段階においても、心拡張機能悪化のリスク因子であることが示された。今後は、睡眠時の無呼吸が多い患者への介入、さらには良好な睡眠の質を維持、もしくは質の改善を目指した介入を行うことで心拡張機能の低下の予防に実際に寄与できるかどうかの検討が必要だ。加えて、特に睡眠の質の低下がどのような機序で心拡張機能低下に影響するのか、左室心筋細胞の実質にどのような影響を及ぼしているのかといったメカニズムに迫る基礎的検討も必要だ、と研究グループは述べている。

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