NPhAが会員企業薬局を対象に実施した調査によると、4~6月におけるリフィル処方箋の応需枚数は「応需なし」が72%を占め、リフィル処方箋を応需した薬局はあるものの、まだ少数に限られているのが現状だ。
政府がリフィル処方箋の普及・定着に向けた方針を打ち出す中、応需する薬剤師が患者の状態を適切に把握し、必要に応じて処方医への情報提供や受診勧奨を行うことにより、効率的で質の高い薬物療法に寄与できるよう適切な対応や取り扱いについて手引きをまとめた。
手引きで示されたリフィル処方箋の対応フローによると、患者からリフィル処方箋を受け取った場合、まずリフィル処方箋の記載事項を確認するよう明示。具体的には、処方箋の「リフィル可」欄にレ点があるかや使用回数・総使用回数を確認し、リフィル欄に手書き記載があった場合には偽造を疑い、医療機関に問い合わせを行うとした。
投薬量に限度が定められている新薬や向精神薬、麻薬、湿布薬はリフィル処方箋による投薬を行うことができないため、リフィル処方可の薬剤と不可の薬剤が混在する場合や、薬剤ごとにリフィル回数が異なる場合は処方箋を別に分けて発行するよう明記。リフィル処方箋の有効期間も確認し、有効期間を過ぎた場合は医療機関への受診勧奨を行うとした。
リフィル処方箋の妥当性が判断できれば、患者の服薬状況を確認。副作用の発生、体調変化、症状が改善されないなど、リフィル処方箋により調剤することが不適当と判断した場合は、調剤を行わず受診勧奨を行うと共に、処方医に速やかに情報提供を行う。
続いて処方内容もチェックし、1回当たり投薬期間・総投薬期間が医学的に適切なのか、一般名処方の場合に初回来局時に調剤した薬剤と同一のものを調剤しているかなどを確認する。
服薬指導時に処方箋への記録を行う際に、調剤日、次回調剤日を記録すると共に、調剤を実施した薬局の名称、薬剤師の氏名を余白や裏面に記載する。
次回調剤可能な期間の前日に電話で連絡する旨や処方箋の有効期間が過ぎてしまったり、紛失してしまった場合は再度受診が必要になることを伝え、継続的に体調の経過確認を行うために次回も同じ薬局の利用を勧める。
服薬指導後の対応として、リフィル処方箋が総使用回数に達した場合は処方箋原本を薬局で保管し、総使用回数に満たない場合はリフィル処方箋の写しを調剤録と共に保管する。必要に応じて医療機関への情報提供、服薬期間中のフォローを行うよう求めた。
NPhAは「リフィル処方箋は患者本位の医薬分業を完成させる最後のピースであり、薬剤師の職能が試され、医薬分業の是非にも大きく影響し得ることを重く受け止める必要がある」とし、会員企業に手引きの活用を呼びかけていく。
ただ、「薬剤師がリフィル処方箋を応需した場合に適切に対応するために作成したものであり、リフィル処方箋の普及が目的ではない」と説明している。