感染拡大第7波の主流となっているオミクロン株に対応したワクチンの導入をめぐっては、8月の分科会で初回接種を終了した全ての人を対象に、同株のBA1系統に対応したものを10月半ば以降に接種開始する方針を決定した。
これを踏まえ、ファイザーとモデルナは既存のコロナワクチンについて、従来株とBA1系統に対応した2価ワクチンに関する一部変更承認申請を行った。ファイザー製品は12歳以上、モデルナ製品は18歳以上を対象としている。
国とワクチンメーカーで調整を進めた結果、2価ワクチンの輸入が前倒しされ、今月半ばには順次配送が見込まれることになった。このため、厚労省の「新型コロナワクチンの製造株に関する検討会」は2価ワクチンの導入に関し、初回接種を終えた人に対する2価ワクチンは自治体の準備ができ次第、接種を開始するとした。
また、重症化予防のため60歳以上の人や基礎疾患を持つ人などに実施中の4回目接種に使用されている従来株対応のワクチン(1価ワクチン)から、2価ワクチンに早期に切り替えるよう提案していた。この日の分科会でも、今月半ば以降に4回目接種対象者から優先的に使用する案が了承された。
■小児の追加接種了承‐ファイザー製を使用
また、この日の分科会では、5~11歳の小児を対象とした新型コロナウイルスワクチンの3回目接種(追加接種)を予防接種法上の特例臨時接種に位置づける案も了承した。小児で感染拡大する現状や2回目接種と比べた米国での安全性データなどを踏まえたもの。追加接種向けの用法・用量が承認されたファイザー製品を使用する。
5~11歳の小児に対するコロナワクチン接種として、初回接種について2月からファイザーの「コミナティ筋注5~11歳用」を用いて実施しているが、感染拡大の第7波到来に伴い、小児における重症・中等症例も増加。日本集中治療医学会が新生児から高校生以上までの子供を対象とした調査では、5~11歳が重症等の3割を占め、未就学児と合わせると8割に及んでいた。
追加接種をめぐる国内状況は、日本小児科学会が感染者数の増加や接種のメリットがデメリットを大きく上回ると判断し、5~17歳全員にコロナワクチン接種を推奨する考えを公表しているほか、コミナティ筋注5~11歳用については8月30日に承認を取得している。
海外では、米国とイスラエルが全ての小児に対して追加接種を推奨し、カナダが重症化リスクの高い小児、ドイツが基礎疾患を持つ小児に推奨。米国におけるファイザー製ワクチンの追加接種に関する安全性を見ると、局所反応の発現割合は2回目68%、3回目68.5%で、全身反応は2回目45.8%、3回目45.6%と有意差は見られていない。