厚生労働省健康局の2023年度予算概算要求は、前年度比3%増の4697億円を計上した。新型コロナウイルス対策については事項要求としたものの、感染症対策の推進には467億円と大幅な増額を要求し、新興・再興感染症のデータバンク事業や薬剤耐性(AMR)対策で抗菌薬確保支援事業を組み入れた。
新型コロナウイルス感染症対策については事項要求としている。ワクチン接種では自治体での接種会場の運営や国での注射針の配送、接種体制の確保を行い、国民への接種を実施する。
また、国内企業のワクチン研究開発推進に向けては、新規ワクチンの開発に必要な知見・技術を集積するため、大規模臨床試験等の費用補助を行う。具体的な内容は、今後の感染状況を踏まえ予算編成過程で検討する。治療薬開発についても、基盤的な研究から実用化に向けた開発研究までを一貫して推進する。
新型コロナを除く感染症・予防接種対策には32%増の467億円を要求した。新型インフルエンザ等の感染症対策として385億円を計上し、今後新たに発生する新興・再興感染症の対策を迅速に進めるため、臨床情報や検体等を収集し、検査方法や治療薬・ワクチンなどの研究開発の基盤となるデータベースの充実を図る。
国際的な課題となっているAMR対策の推進には33億円と前年度比で21億円増額した。抗菌薬の治療環境を維持するため、民間企業の一定額の収入を国が保障し、販売量を適正水準に保つ収入保障制度を試行的に実施する。
予防接種対策として24億円と前年度から8億円増額した。HPVワクチンに関しては、地域ブロック別に拠点病院を選定して医療機関の診療体制を整え、協力医療機関に専門員を配置することで患者相談体制を強化すると共に、関係機関との連携を円滑に行えるよう体制の充実を図る。