現行の第7次医療計画作成指針では、薬剤師の資質向上に関する記載はあるものの、薬剤師の確保に関して明確な記載はない。この日の検討会で厚労省は、第8次医療計画作成指針を策定する上で、薬剤師確保を明確に記載すること、病院薬剤師の不足や無薬局町村の解消に向け、病院・薬局それぞれで薬剤師の就労状況を把握した上で薬剤師確保策の策定を都道府県に促していくことなどを論点に示した。
荻野構一構成員(日本薬剤師会常務理事)は、「医療計画作成指針に病院薬剤師・薬局薬剤師に関する薬剤師確保を明記することに強く賛成する」と述べた上で、「薬剤師の従事先には病態と地域の偏在が存在し、とりわけ病院薬剤師の確保は喫緊の課題」と訴えた。
各都道府県が薬剤師の就労状況を病院・薬局それぞれで把握し、薬剤師確保策を講じることも「極めて重要」とし、「医療提供側だけではなく、薬務行政の関係者も関与した上できちんと進めていただきたい」と述べた。
一方で、病院薬剤師と都道府県では薬剤師不足の認識に乖離があることを問題視。「最大の問題は病院薬剤師を最も理解している薬務主管課と、医療計画主管課で連携が取れていないことが多々あること」とし、薬剤師確保策に向けた体制整備を求めた。
猪口雄二構成員(日本医師会副会長)からは「日本は人口10万人当たりの薬剤師数がOECDで最も多いのに、病院薬剤師の数が少ない」との問題認識が示された。
他の構成員からも「地域医療介護総合確保基金を積極的に活用し、就労している薬剤師を定着する取り組みを進めてほしい」「先行している医師確保策を参考に薬剤師確保策に取り組んでほしい」との意見が上がった。
また、無薬局町村について、厚労省の調べで全国1718町村のうち34都道府県136町村が該当することを公表した。北海道が24市町村と最も多く、長野県が14市町村、奈良県が11市町村、沖縄県が11市町村、福島県が9市町村と続いている。