厚生労働省医政局の2023年度予算概算要求は、前年度比7.6%増の1920億6500万円を計上した。海外の原薬製造所が操業停止した場合に国内で海外依存度が高い原薬を製造、備蓄の積み増しを実施する製薬企業を支援する「医薬品安定供給支援事業」には、前年度から倍増となる10億円を要求した。
新型コロナウイルス対策としては、医療現場で汎用され、必要不可欠な医薬品が感染症パンデミック発生時や海外での製造・輸出停止時に安定的に確保されるよう、国内製造所の整備を推進する。医薬品安定供給支援事業には10億円を充てるほか、感染症蔓延時など感染症に対する医薬品や医療機器などが確実に供給が確保されるための供給情報把握に向けた調査研究事業として新たに1億3600万円を計上した。
また、後発品使用促進の「見える化」事業には新規で3600万円を充てる。全都道府県で後発品数量シェア80%以上の目標が設定されている中、目標達成に向け、ナショナルデータベース(NDB)を活用した都道府県、2次医療圏、年齢、薬効分類、医療機関ごとに後発品使用割合データを集計・作成して都道府県に提供し、効果的な使用促進策を行い、後発品使用全体の底上げを図っていく。
医療系ベンチャー育成事業には5億1700万円、バイオシミラーの国内での普及やバイオ医薬品の製造技術や開発手法を担う人材育成に向けた「バイオ医薬品開発等促進事業」には6100万円とそれぞれ推進枠として増額を要求した。
そのほか、遺伝子治療のシーズ開発から研究者支援を行い、臨床試験まで円滑にサポートする「遺伝子治療実用化基盤整備促進事業」には新規で9000万円を充て、国民や患者の治験に対する理解を深め参加を促進するために、治験、臨床研究データベース統合後の高度な検索機能を実現する「臨床研究データベースシステム改修事業」についても新たに6000万円を計上する。